2024 年 12月 28日 (土)
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進化する「深宇宙通信」…韓国が取り組む技術開発とは

韓国航空宇宙研究院が公開した月探査船タヌリの地球撮影写真にマシンラーニング人工知能(AI)を活用して色をつけた=航空宇宙研究院提供(c)news1

1969年、人類初の月面着陸は映像で生中継され、多くの人に宇宙への夢を与えた。生中継は統合Sバンド(Unified Sband)周波数で電波通信が進められた。Sバンド通信は、韓国が2022年に月に送った月探査船「タヌリ」、2023年にヌリ号で打ち上げた衛星「トヨサット」などでも使われ、長い時間、宇宙探査分野で活用されている。

◇深宇宙ネットワーク(DSN)

電波通信はその特性上、距離に比例して信号が弱くなる。

高出力で通信すると、多くのエネルギーを消費して非効率的だ。その代わり、微弱になった信号を地上で受信しようと、米航空宇宙局(NASA)は直径30メートル以上の大型アンテナで構成された深宇宙ネットワーク(DSN)を運営している。

韓国もタヌリを宇宙に送り、京畿道驪州(キョンギド・ヨジュ)衛星センターに直径35メートルのアンテナを設置した。

ただ、電波通信は多くの信号と情報を送るのに限界がある。

次世代宇宙通信技術としてレーザーを利用した光通信が開発されている。伝送速度と容量を既存通信に比べて10~100倍以上増やすことができると期待されている。また、地上の大型アンテナなどの設備を小型化できるメリットもある。

弱点は、レーザーが大気を通過する際に散乱が激しく、歪みが発生するという点だ。現在、これを補正する「適応光学」や衛星を精密追跡しレーザー通信効率を高める技術が開発されている。

NASAは関連の研究を続け、2023年には地球と月の距離(38万5000キロ)の40倍を超える1600万キロ離れた地点で発射した通信レーザーを受信することに成功した。

火星と木星の間の小惑星「プシケ」を探査する装備から発射されたこの通信レーザーはテストデータを含んでいる。2年間の試験通信が進められる予定だ。

◇遅延・切断耐性ネットワーク

さらに、深宇宙通信(DSN)では天体など障害物による通信途絶、通信遅延、宇宙線など動く宇宙物体間の通信が消失するなど問題がある。

レーザー・電波通信ともに光の速度で情報が伝送されるが、長距離宇宙通信では遅延が発生することは避けられない。地球と月の間に1.28秒、火星とは約35分、木星とは約51分の遅延が発生する。このような遅延プロセスで、位置の移動、障害物による遮蔽などでデータ消失の可能性が高くなる。

これを解決するために遅延・切断耐性ネットワーク(DTN)技術が開発されている。DTNは発信地、目的地とその間にノードで構成されている。ノードは基本的に情報を中継する役割だ。さまざまな事情で通信が難しい場合は、しばらくデータを保存し、次のノードと通信する際、それを伝達する。

遠い距離に一度に情報を送る代わりに、短い距離の中間寄着地を何度も経る方式で安定性を高めることだ。

タヌリには、DTN技術や通信プロトコル検証用の宇宙インターネット搭載体が載っている。韓国電子通信研究院(ETRI)が開発したこの搭載体は、宇宙から地球へ、グループ「防弾少年団(BTS)」のミュージックビデオや高解像度の写真、簡単なハングルと英文文字を送るのに成功した。

(c)news1

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