今年は衛星分野でも、K-ベンチャー・スタートアップの成果が出ると見込まれる。
3回目の打ち上げとなったヌリ号に搭載された衛星8基(小型1基、キューブ型7基)のうち3基が、韓国ベンチャー企業の「ルミル(LUMIR)」「ジャステック(JASTECH)」「カイロ・スペース(CAIRO SPACE)」の製品だ。ルミルは宇宙放射能を探知するキューブサット(数キログラム程度の小型人工衛星)「T1」を、ジャステックは衛星姿勢制御技術を実証するキューブサット「JAC」を、カイロ・スペースは地表観測キューブサット「KSAT3U」をヌリ号に載せた。
重さ100kg以下の超小型人工衛星を製造する「ナラ・スペース(NARA SPACE)」は今年、衛星「オブザーバー1A」を宇宙に打ち上げる計画だ。横・縦それぞれ20cm、高さ40cm規模の超小型サイズだが、地球上の幅1.5m物体を識別できる解像度を備えている。オブザーバー1Aを搭載する発射体は米スペースXの「ファルコン9(Falcon 9)」だ。10月の打ち上げを控えている。
そのほか、衛星データを処理する地上局ソリューションを運営する「コンテック(CONTEC)」「SIA」「ダビオ(DABEEO)」も海外で成果を出している。コンテックは今年、フランス航空宇宙・防衛・通信「サフラングループ」傘下「サフラン・データ・システムズ(Safran Data Systems)」とともにオーストラリアに宇宙地上局を構築する。ダビオはマレーシアとインドネシアで衛星映像を通じた農場モニタリングと地図製作などを支援する。
◇2030年の市場規模は92兆円
スタートアップが宇宙産業に参入する理由は、それだけ市場が大きくなっているためだ。
気候変動で地球観測や宇宙空間開拓の重要性が増し、市場成長速度はさらに高まっている。宇宙分野の市場調査業者ユーロコンサルタントは、グローバル宇宙産業が2021年の490兆ウォン(約53兆円)から2030年には852兆ウォン(約92兆円)まで成長すると予想している。
韓国政府が民間企業とともに2030年までに80基以上の衛星打ち上げ計画を立てた理由でもある。
国内技術力も急速に発展しているという評価がある。
特に衛星分野の場合、韓国は世界6~7位圏の開発技術力を持っているようだ。
数年前までは発射体分野が相対的に遅れたという指摘を受けたが、昨年のヌリ号に続き今年、イノスペースまで発射に成功し、発射体の技術力も今は一定水準を超えたようだ。
国家宇宙政策研究センターチーム長のアン・ヒョンジュン氏は「2010年代半ばに設立された宇宙スタートアップが、いよいよ成果を出す段階に入った」とみたうえで、次のように展望している。
「彼らが本格的な成果を出し、政府が人材養成など産業全般を支援すれば、韓国の宇宙産業は世界水準まで達するだろう」
(つづく)
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