
韓国の特別検察が現在進める「キム・ゴニ氏」「統一教会」「海兵隊死亡事件」に関する3大特検事件で、主要被告が法廷で「突然の証言」を口にしたことをきっかけに、「司法取引」の概念が改めて注目されている。
元ブラックパール・インベスト代表のイ・ジョンホ被告は、ユン・ソンニョル(尹錫悦)前大統領の妻キム・ゴニ(金建希)氏の資産管理人とされる人物。特別検察に対し「キム・ゴニ氏に3億ウォンを小切手で渡した」と詳細に証言したとされる。
この発言は、イ・ジョンホ被告が証拠隠滅および捜査協力拒否の罪で懲役4年を求刑された際に、弁護人が「被告は捜査に全面協力した」として情状酌量を求めた中で明かされた。法曹界では、これは量刑軽減を狙った「司法取引的行動」と分析されている。特検チームもこの証言を「キム・ゴニ氏が株取引に関して無知だった」とする主張への反証材料として提示した。
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の元世界本部長、ユン・ヨンホ被告もまた、「与党だけでなく野党も支援していた」として議員リストの暴露を示唆。自身への有利な処分を引き出そうとした可能性が指摘された。だが、特検側はユン被告にも懲役4年を求刑しており、司法取引的な戦略は功を奏さなかったとみられる。
昨年12月3日の「非常戒厳令」陰謀事件を巡っては、被告のノ・サンウォン元軍情報司令官が、法廷で「特検チームからユン前大統領に不利な証言をすれば、量刑軽減があると示唆された」と証言。韓国特検が“誘導的捜査”をしているのではないかとの批判も浮上している。ノ・サンウォン氏は「答えを決めて“YES”と言わせたいようだった」「実際には取引に応じなかったが、揺らいだ」と述べた。
米国では司法取引が制度として確立されている。仮想通貨「テラ・ルナ」事件で詐欺など9件の罪に問われた韓国人実業家クォン・ドヒョン被告は、最大130年の懲役もあり得たところ、司法取引により15年の判決に収まったとされる。
米検察は判決意見書で「被告が罪を認め、裁判負担を軽減したことが有利に考慮された」と明記した。韓国では現在、司法取引の制度化はされていないものの、自白や捜査協力により不起訴や起訴猶予など“実質的な”取引が進められることは少なくない。
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