韓国憲法裁判所は23日、ソウル市鍾路区(チョンノグ)の憲法裁大審判定で、旧低炭素・グリーン成長基本法42条1項1号などの違憲確認事件の1次弁論期日を開いた。不可逆的な気候変動による国民の生命権など、基本権が侵害されているかどうかを判断するための気候訴訟の初の公開弁論となった。
約5時間ほどの弁論で、請求人側は、韓国の温室効果ガス削減目標と法令・施行令が気候変動に対応するには著しく不十分であり、国民の基本権を侵害すると主張した。一方、政府側は温室効果ガス目標のための現実的目標の履行に努力してきたと抗弁した。
気候訴訟の公開弁論が開かれたのは、韓国だけでなくアジアでも初めてだ。
請求人側は旧グリーン成長法、気候変動対応のためのカーボンニュートラル・グリーン成長基本法8条1項や同法施行令3条1項、1次国家カーボンニュートラルグリーン成長基本計画などを基に設定された温室ガス削減目標が違憲だと主張した。
請求人側は、パリ協定で設定した炭素予算を、韓国が早ければ2030年以前、遅くても2030年代半ばに使い果たすことになる状況だという点をまず指摘した。炭素予算とは、温度上昇を制限するために人類が排出できる温室効果ガスの総量をいう。
請求人側はこのような状況で「政府が2021年度計画で排出責任が多い産業部門削減率を5分の1も減らした。『汚染者責任原則』に反して削減が不確実な部門に削減目標を移転したことは問題だ」と主張した。
これらは「世界の温室効果ガス排出量の23%に炭素税と排出権取引制を適用する状況で温室効果ガスを削減することが産業・経済にも利益となる。炭素排出を減らさなければ商品価格が上がり輸出が減り、再生エネルギー確保が可能な海外に工場を移転しなければならないなど経済にとって脅威になる」と主張した。
また「政府は2031年以後、炭素予算を配分せず未来世代の基本権保護義務を全く履行していない。これは平等権を侵害する。削減目標の不履行時、政府と国会の誰もが憲法的・法律的・政治的責任を負わず2020年目標を履行せずに放棄した事態の再発可能性が大きい」と続けた。
請求人側の参考人であるチョ・チョンホ元国立気象科学院長はこれに加えて「1950年に生まれた人は10年ごとに0.12度の気温上昇を、1980年に生まれた人は0.19度の気温上昇を経験した。年齢が下がれば下がるほど気候変動の影響を受けることになる。既成世代は化石燃料を燃やして大変な恩恵を享受してきた。未来世代は私たちが排出した温室ガスによる恩恵はなく、被害に耐えなければならない危険がある」と、より積極的な対策の策定を促した。
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