放送通信委員会は、Nスクリーン視聴形態調査結果を盛り込んだ報道資料で、前年比でスマートフォンとPCによる放送番組視聴時間が減少したと明らかにした。新型コロナ感染が拡散した2020年、スマートフォンとPCによる放送視聴時間が急増したが、昨年からはウィズコロナ政策の影響で利用量が減少したと分析した。
これはOTT利用が増えたことと矛盾する結果だ。放送通信委員会は1月、「2021放送メディア利用形態調査」結果を発表し、昨年のOTT利用率が69.5%で前年比3.2ポイント増えたと発表した。
メディアの主力はOTTに変わったのに、政府はテレビ放送番組を、テレビのほかスマートフォン、パソコンでどれだけ見るかだけに集中して調査しているため、新しいメディア利用現象を正確に反映できるはずがない。
このような指摘に対し、放送通信委員会関係者は「Nスクリーン視聴形態調査は、テレビ以外に多様なメディア視聴傾向を明らかにする目的で実施された」と説明している。一方で「最近、市場規模が大きくなっているOTTを、独立したプラットフォームとして調査することが必要だとされているため、現実を反映した調査が必要だという問題意識を持っている。これを改善するための方法を検討中だ」と明らかにした。
放送通信委員会がNスクリーン調査を始めた2017年、ネットフリックスの韓国でのサービス開始の翌年だ。この時、既にOTTという巨大な波が世界を席巻し、韓国にも登場していたのに、同委員会の調査は、当初からテレビ番組だけに限定したものだったわけだ。
あるメディア業界関係者によると、Nスクリーン視聴調査はそもそも、放送という概念をテレビだけを想定した現在の放送法体系に限界がある、という問題意識を持って始められたものという。だが、今はOTTでメディアの市場環境が変わった。OTTの法的な位置づけがまだ定められておらず、これに対する調査も実施されていない。
この関係者は「制度的枠組みをさらに整え、OTT中心に調査方式を変えるべきだ。政府の決断と業界全体の合意を踏まえ、現在のメディア環境に合わせたOTTに関するデータ取得が必要だ」と強調した。
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