
韓国の大手免税店である新羅免税店に続き、新世界免税店も仁川国際空港のDF1・DF2区域(化粧品・香水・酒・たばこ)事業から撤退したことが明らかになった。いずれも空港内の「一等地」とされる区域だけに、再入札を巡る各社の駆け引きが激化しそうだ。
業界関係者によると、新世界は10月30日、仁川空港第2ターミナルで展開していたDF2区域の免税事業権を返上する旨を公示した。これにより、昨年、新羅免税店が撤退したDF1区域に続き、業界大手が連続して空港の主要エリアから手を引く事態となった。
営業停止による予想損失額は、新世界の昨年の連結売り上げ6兆5704億ウォンの6.15%にあたる4039億ウォン。免税事業単体で見ると、売り上げ2兆60億ウォンの約20%が失われる計算となる。
入札は早ければ年内にDF1区域から再開される見通し。候補としては2023年の前回入札で敗れたロッテ免税店、DF5区域で黒字を出している現代免税店、さらに中国国営免税集団(China Duty Free Group=CDFG)などが挙げられている。
業界では、撤退によって市場シェアの低下が懸念される新世界免税店が、逆に積極的な再入札に踏み切る可能性が高いとの見方が強まっている。海外進出を進める新羅免税店と異なり、新世界は国内、それも仁川空港店舗の業績への依存度が高い。
10月就任したイ・ソック代表が、就任直後に空港店舗を社長直属の組織に再編したのも、今後の再入札を視野に入れた布石ではないかと見られている。実際、イ・ソック代表は就任直後から空港賃料問題を最優先課題として検討し、わずか1カ月で「撤退」を決断した。
関係者は「現在の新世界免税店は他の都市型店舗を新設したり、海外に事業を拡大したりするには経済的に厳しい状況。市内店舗だけでは交渉力や購買力の維持が難しく、仁川空港での営業は死活問題だ」と話す。
とはいえ、「撤退後の再入札」が成功する保証はない。ロッテ免税店は2018年に撤退後、再入札で落選した経験がある。2023年のDF5入札でも、現代免税店より高い入札額を提示したにも関わらず敗れている。
ただ今回は、ウォン安・景気後退・消費パターンの変化などで免税業界全体が低迷する中、空港公社が「高額入札」よりも「実効性のある運営」に重きを置く方針に転じる可能性もある。そうなれば、再入札の勝敗はこれまでとは異なる構図になるかもしれない。
DF1・DF2区域は、仁川空港内でも最も人通りが多く、各社にとっては看板店舗とも言える存在だ。ここでの再入札の結果次第では、業界内の順位が大きく動く可能性もある。仮に現代免税店がDF1・2区域を獲得し、新世界が落選した場合、業界3位と4位の格差は一気に縮まることになる。
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