2024 年 5月 3日 (金)
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尹政権経済チーム「電気料金、どうする?」 [KWレポート] 赤字“爆弾”韓国電力 (2)

言葉を交わすチュ・ギョンホ(秋慶鎬)経済副首相兼企画財政相(右)とイ・チャンヤン(李昌洋)産業通商資源相(c)MONEYTODAY

韓国では今年、電気料金の追加引き上げが避けられなくなり、経済成長にも不確実性が高まった。内外の主要機関は、韓国の経済成長率の展望値を下方修正し、その要因として公共料金の引き上げなどによる消費萎縮を挙げた。

ユン・ソンニョル(尹錫悦)政権の経済チームは、安定した物価を基盤に今年は上半期を中心に景気が低迷するものの、下半期は好景気になる「上低下高」の流れを狙ったが、ジレンマに陥る恐れがある。33兆ウォン(1ウォン=約0.1円)に達する韓国電力公社の赤字を考えれば、早期の料金引き上げが避けられないからだ。だが、景気・民生の側面から見ると、そのタイミングは極めて難しい。

関係省庁などによると、韓国銀行(韓銀)は26日、今年の韓国経済成長率の展望値を従来(11月)の1.7%から1.6%に下げた。国内外機関の展望値は、下方修正される傾向だ。▽IMF(国際通貨基金)2.0%→1.7%▽韓国経済研究院1.9%→1.5%などが代表的だ。

こうした機関は、その要因として物価の流れの不確実性による消費増加傾向の鈍化を挙げる。その中心は、公共料金の引き上げだ。韓国電力が昨年の33兆ウォンに達する赤字を発表した中で、これを補填するために公共料金の追加引き上げは避けられない見通しだ。

◇タイミング・幅で温度差

だが、政府経済チームは、電気料金引き上げの必要性を認めながらも、そのタイミングや引き上げ幅を巡っては温度差を見せる。

イ・チャンヤン産業通商資源相は、次の四半期の電気・ガス料金の凍結は望ましくないとし、漸進的な価格正常化が必要だという立場だ。しかし、チュ・ギョンホ副首相兼企画財政省相の場合、一定の時間を置いても料金引き上げなどを通じ、赤字問題を解決しなければならないとする。ただ、エネルギー料金は国民負担を優先的に考慮しなければならないと言う。

電気料金は四半期別に産業省が決めるが、その過程で物価当局である企画財政省との協議を経なければならない。企画財政省が拒否権を行使する場合、事実上、料金引き上げは実現しない。

◇景気萎縮と民生負担に苦慮

企画財政省が料金引き上げを巡って苦慮しているのは、景気萎縮と民生負担のためだ。特に、物価負担は国民の実質所得減少とつながる。実質所得が低くなれば、経済成長の大きな軸である消費は萎縮するものだ。

統計庁によると、昨年第4四半期(10~12月)の1世帯当たりの実質所得は前年同期比1.1%減少した。昨年、消費者物価が6%台まで急騰し、消費余力が縮小した影響だ。特に昨年の公共料金引き上げで電気・ガス・水道料金は前年比12.6%上昇し、物価全般を引き上げた。今年も状況は同じだ。1月の公共料金は28.3%上昇した。物価上昇幅(1月5.2%)を3カ月ぶりに高騰させた要因とされている。

韓銀も公共料金の引き上げを今年の物価の主要変数だと指摘した。このほど発表した経済展望で「これまで累積した費用引き上げ圧力が公共料金などに次第に反映され(物価への)2次波及が現れる可能性がある」と分析した。

韓国政府の景気対応においては変数が大きくなった。公共料金を中心とした物価上昇圧力を管理し、景気を浮揚させなければならないからだ。その上、電気料金が産業全般の費用負担を高めるという点にも苦慮している。民間の生産・投資意欲をそぎ、もろもろの費用上昇で商品価格を跳ね上げる。

政府が経済成長率を引き上げるために財政支出を増やす方法があるが、生半可にインフレ局面で支出を増やせば「政策の行き違い」という批判が出てくる恐れがある。

漢陽大学経済学部のハ・ジュンギョン教授は「下半期に国際エネルギー価格が安定すれば、漸進的に料金を最小限引き上げ、物価管理ができる」としながらも「電気料金は全産業に影響を与えるため、景気低迷が上半期に集中する『上低』の流れに持っていけるか、不確実性が大きい」と説明した。

韓国開発研究院(KDI)のチョン・ソラ経済展望総括は「公共料金の引き上げは物価高、さらに2次的に高金利まで起こし、消費を萎縮させる恐れがある」としながらも「引き上げをもう先送りできない段階に到達したので、漸進的に引き上げる基調に持っていかなければならない。料金引き上げでインフレ圧力が高まるため、景気対応と通貨政策当局間の意思疎通が必要だろう」と語った。

(つづく)

(c)MONEYTODAY

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