韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領とキム・ソンフン大統領警護処次長が、逮捕状執行を阻止するため、武力衝突も辞さない姿勢を示していると伝えられる。その主翼を担う警護処内の「対応攻撃チーム(Counter-Assault Team・CAT)」の武装レベルに関心が集まっている。
軍事専門家の分析を総合すると、ソウル市龍山区漢南洞の大統領官邸には警護処職員が約200人配置され、そのうち50人余りがCAT要員であると推定される。
警護処の一般警護員の場合、短機関銃MP7やK2小銃などで武装するのに対し、CAT要員はHK416やARADなどの突撃小銃をはじめ、5.56mm狙撃小銃、擲弾(てきだん)発射器、ショットガン、ベレッタやグロックといった拳銃など、多様な火器を使用するという。
同じ警護処内でもこのように武装に違いがあるのは、その役割が異なるためである。
一般警護員は大統領の近接警護のため、比較的小型の武器を採用している。2019年3月、当時のムン・ジェイン(文在寅)大統領が大邱七星市場を訪問した際、警護員から露出していた武器も、火器に分類されるMP7だった。
大統領の至近距離にいる者が重火器で武装していれば、大統領と会う主要人物や国民の立場からは威圧感を与える可能性があるため、軽火器で近接警護を担っているようだ。
一方で、CATは車両移動時には主に米国製防弾バンに搭乗し、危害を及ぼす車両を阻止し、何かあれば強い火力を使って大統領を護衛する威力警護を担う。このため、CAT要員の対テロ車両には5.56mmまたは7.62mm機関銃も搭載されているとされている。
最近、漢南洞の官邸でヘルメットや防弾チョッキなどの戦術服を着用し、小銃用のバッグと思われるリュックサックを背負っている姿がnews1の写真に捉えられた。
専門家らは、このバッグの中にAR-15系統の小銃と予備の弾薬が入っている可能性が高いとみている。AR-15系統の小銃は、反動が少なく命中率が高く、軽量であることが特徴だ。
CAT要員らは、AR-15系統の小銃の中でも各国の主要特殊部隊が採用している「高級小銃」であるHK416を主に使用しているとみられる。
ドイツのH&Kが開発したHK416は、2011年に米海軍の最精鋭特殊部隊が国際テロ組織アルカイダの指導者オサマ・ビンラディン容疑者を殺害する際に使用されて有名になった。韓国では、海軍特殊戦戦団がアデン湾の海賊作戦のために初めて導入し「アデン湾の黎明」作戦で使用されたことがある。有効射程800m、最大射程2860mで、1分間に700~900発の発射が可能だ。
一方、イスラエルのIWIが開発したARADもAR-15系統の小銃であり、300~1000mの距離での交戦に効果的で、1分間に700~1100発を発射できる。
CATは、主に警察特殊部隊や陸軍第707特殊任務団出身の精鋭要員で構成されている。6人ほどで1チームを形成し、チームごとに任務に応じた武器を購入しているとされている。
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