韓国大統領選で、保守系野党「国民の力」候補者ユン・ソンヨル(尹錫悦)氏の妻、キム・ゴニ(金建希)氏に、韓国メディアの焦点が当てられている。MBCテレビの時事番組「ストレート」が16日、キム氏とインターネットメディア記者との通話記録の一部を報じ、約50日後に迫った選挙にどのような影響を及ぼすか注目されている。
ネットメディア記者は、YouTubeチャンネル「ソウルの声」のイ・ミョンス氏。昨年7月、キム氏に接近し、12月までの間、計52回、計7時間45分の通話を録音した。MBCはその一部を、キム氏の肉声とともに報道した。
放送に先立ち、キム氏側はMBCを相手取り、放送禁止の仮処分を申請していた。その際、イ・ミョンス記者がキム氏を助けるふりをして接近した▽私的な通話を同意なく録音した▽MBCは音声記録の内容を悪意を持って編集し、歪曲したり虚偽事実を放送したりする恐れがある――などと主張していた。
これに対し、裁判所は14日、「MBC側が『放送する内容はほとんど、ユン氏と結婚した後の、社会的な話題に関するキム氏の見解』と明らかにしており、単純に私的な領域だとはみなしにくい」「大統領候補の配偶者の政治的見解を有権者に知らせることは公益に符合する」と判断し、一部の放送を認めた。
今回の放送後、国民の力はMBCに対し「政治的中立性を損ねたもので、不適切だった」「極めて私的な会話であるにもかかわらず、公益目的に合致していると主張し、違法に録音されたファイルを放映した」と非難した。MBCは来週の放送でも関連内容について報道する予定だ。
キム氏に関しては、さまざまな疑問点が報じられている。
2007年に私立大学の兼任教授に就任した際、経歴を詐称していた疑惑が浮上し、2021年12月26日に謝罪会見を開いた。その際、「よく見せようと経歴を膨らませて誤りを書いたことがあった。どうか許してください」と釈明し、ユン氏との出会いや流産の経験まで明らかにした。
ほかにも、知人の株価操作に関与した疑惑も持たれている。
ユン氏本人は17日、ソウル市内で開かれた会合に出席した際、この放送に言及して「多くの方々にご心配をおかけした点は申し訳なく思う」と述べる一方で「私的な会話内容が放送で公開される過程において不適切な点もあるが、私もよく理解できない面がある」と打ち明けた。
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