2025 年 6月 3日 (火)
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北朝鮮の駆逐艦、動かないまま10日以上、復旧期限順守は困難か…金正恩総書記に「虚偽報告」か

海上に横倒しになっている北朝鮮の新型駆逐艦=「MenchOsint」Xアカウント(c)news1

北朝鮮が進水式の途中でバランスを崩して転覆した駆逐艦を、いまだに起こすことができていない。事故調査で想定された復旧期限を守るのが困難になっている可能性が指摘されている。一部では、北朝鮮の幹部らがキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党総書記に対し、事故や復旧に関する調査内容を「虚偽報告」した可能性も取り沙汰されている。

欧州宇宙機関(ESA)が運営する「コペルニクス・ブラウザ」が提供した5月31日の清津造船所一帯の写真を見ると、事故を起こした駆逐艦は依然として水面に横たわったままだ。5月21日に発生した事故直後の状態が10日間以上そのままになっている。

北朝鮮は事故の翌日、労働新聞で、船を側面から進水させる過程で船首と船尾が均等に動かず、船底に穴(破孔)が開くなどして損傷したと明らかにしていた。その後、民間の衛星写真で駆逐艦が水面に転覆した様子が確認された。

しかし事故から2日後、労働新聞の報道では「船底に破孔はなく、船尾部分の構造通路を通じて一定量の海水が浸水した」として、駆逐艦の状態は良好であると発表した。そのうえで、浸水した船体区画の海水は2~3日以内に排出され、現側の復旧には10日ほどかかるとの見通しを示していた。

こうした北朝鮮の発表によれば、現時点までに、転覆した船を立て直し、修理のための引き揚げ準備に入っているはずだ――というのが専門家らの見方だ。予想よりも事故復旧が遅れているとの分析が可能だ。

新型駆逐艦の進水を祝うため現場を訪れていたキム総書記は、目の前で起きた事故に激怒し、6月末に開催される党全員会議までに復旧を完了するよう指示していたが、その最高指導者の命令が順調に履行されているとは言い難い。

一部の専門家は、北朝鮮の幹部らが事故後の厳罰を避けたり、最高指導者の機嫌を損ねたりしないよう、被害状況や復旧計画を過小または過大に報告した可能性もあると見ている。

今回の駆逐艦事故で召喚または拘束された幹部は、北朝鮮の発表によれば5人に上る。北朝鮮は事故翌日、清津造船所のホン・ギルホ支配人を法機関に召喚し、造船所のカン・ジョンチョル技師長、船体総組立職場のハン・ギョンハク職場長、キム・ヨンハク行政副支配人を拘束した。また、5月26日には党軍需工業部のリ・ヒョンソン副部長も拘束したと発表したが、それ以降、駆逐艦に関する報道は出ていない。

最高指導者の指示で注力された事業の成果を内外に誇示する場で事故が起き、その後の復旧日程が指示通りに進んでいないというのは、北朝鮮の体制においては指導者の体面を損なう「不敬罪」として扱われる可能性がある。これまで法的措置を受けた幹部よりも、さらに高位の幹部にまで責任が問われる可能性もある。

北朝鮮は今年初めにも地方で一部の幹部が「飲酒接待」を受けていたことを明らかにし、キム総書記の最側近で約10年にわたって重用されてきたチョ・ヨンウォン(趙甬元)書記を1カ月間、職務から排除する謹慎措置を取ったことがある。

(c)news1

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