2024 年 5月 6日 (月)
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処理水で魚・塩が心配?…ソウル大学病院教授「今後6000億年は問題ない」という回答

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福島第1原発の処理水放出で、韓国では水産物を食べてもいいのかと心配する人が増えた。実際、処理水の放出が決まった後、国内の水産物市場から客足が遠のいている。そこで、漁業団体である「韓国沿岸漁業人中央連合会」に所属する1000人余りが先月10日、釜山駅前広場で消費促進を訴えるなどしている。

このような懸念に対し、医学界はどう見ているだろうか。大韓核医学会長でソウル大学病院のカン・ゴンウク核医学科教授は「過度な憂慮と恐怖感を抱く必要はない」と強調した。これからも水産物を食べても安全なのか。処理水が放出されれば、私たちの体に及ぼす影響はないのだろうか。医学的観点から今回の問題を探ってみた。

処理水で最も問題になる成分はトリチウム(三重水素)だ。日本は「アルプス(ALPS)」という多核種除去設備で放射能汚染水を浄化する。放射能汚染水がアルプスを通過する過程でセシウム、ストロンチウム、プルトニウムなどがろ過される。

しかし、唯一ろ過されないのがトリチウムだ。トリチウムは陽子1個、中性子2個で原子核が構成されており、普通の水素より質量が3倍多い。トリチウムは電子を出しながら崩壊し、ヘリウム3に変わる。

高い濃度のトリチウムが体内に入ってきたらどうなるだろうか。カン教授は「世界的にトリチウムを高濃度で摂取した後、死亡した人は2人だと報告されている」とし「旧ソ連の核兵器製造工場でトリチウムを誤飲した職員2人が1~3カ月で亡くなった」と話した。

高濃度で体内に入ったトリチウムは特に「骨髄」を集中的に攻撃する。骨髄機能が破壊されると白血球、血小板を作ることができなくなる。カン教授は「体内には骨髄が作った白血球、血小板の『在庫』が約1カ月分あるが、骨髄が破壊されるとそれが品切れになる。このため細菌に冒されると防ぐ事が出来ず、肺炎などで死亡に至る」と説明した。

問題は、日本から放出された処理水が韓国に到達した時のトリチウムの「量」だ。カン教授は「韓国に入ってくるトリチウムの量は日本から排出される時より1京分の1に希釈される」と話した。

1京は1兆の1万倍。韓国人が1年に食べる魚は平均16キロだ。魚を食べ、海水浴を楽しむなど日常生活で韓国国民が触れる処理水の放射能数値が基準値である1ミリシーベルト(mSV)を超えるまでには6000億年かかる。1人の韓国人が日本発の処理水によってトリチウムが基準値を超えるには、6000億年生きなければならないという話だ。

1mSvは日常での基準値で、安全のためには基準値以下に管理しなければならない。私たちの体に病気を引き起こすほどの悪影響を及ぼすためには、100mSvは超えなければならない。体内のトリチウムが100mSvほどになるには、なんと60兆年生きなければならないということになる。

最近問題になったのは、中国が韓国の黄海側に放出した処理水だ。中国が2021年に発刊した中国核能年鑑を分析した資料によると、中国内の全原発から2020年の1年間に排出したトリチウムの総量は1054テラベクレル(T㏃)だった。これは日本が海洋放出にあたって定めた排出量制限基準の年間22T㏃の約50倍に達する。その場合でも、100億年以上生きてようやく基準値を超える。

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