Startup Story ~~ 成功のカギ
ダーリンキッチン(DARLING KITCHEN)イ・ソクチュ代表
ペットを家族の一員と考えることが多くなり、韓国でプレミアム飼料市場が急速に成長している。過去には肉の副産物の肉粉(肉を挽いて水分をなくした粉)飼料が主だったが、今は人も食べられる「ヒューマングレード」ペットフードが人気を集めている。米国の冷蔵ペットフード専門業者「フレッシュペット」は、第1四半期の売上高が1億3220万ドルで前年同期比41.5%増加し、ナスダックで時価総額が4兆ウォンに達した。
昨年4月に設立された「ダーリンキッチン(DARLING KITCHEN)」は、「ヒューマングレード」ペットフードに高温・高圧の滅菌(レトロット)を施して賞味期限を最長2年に引き延ばし、プレミアム飼料市場を狙っている。
同社のイ・ソクチュ代表は東国(トングク)大食品工学科を卒業後、製菓大手「オリオン」の生産管理や中小食品メーカーのマーケティングを担当したあと、ダーリングキッチンを創業した。
家に帰ると一番先に迎えてくれる愛らしいペットのためのキッチン――という意味を込めた。
イ代表は創業を決心した理由を次のように語っている。
「ペット犬に、より良いものを食べさせようとする人が増えています。約1兆1000億ウォン規模の韓国ペットフード市場が2倍以上成長すると判断しました」
イ代表がヒューマングレードペットフードの中で注目したのが、火食(新鮮な肉や野菜を火で焼いて調理すること)飼料だ。原材料の味をそのまま生かすことができるうえ、消化吸収率が高く、老齢犬、小型犬に適している。YouTubeでも、ペット犬の火食を作る方法や保管法などを説明した動画を簡単に見つけ出すことができる。
◇「プレミアム火食」登場
ダーリンキッチンが昨年12月に出した「ダーリンキッチン自然火食」は牛、鶏、鴨、鮭を主材料とし、ニンジン、カボチャ、サツマイモなど計10種類の材料で作った。
イ代表によると、競合する大企業の製品の2倍多い10種類の材料を使用しているという。数多くのテストを経て、ペット犬に適した配合を開発したそうだ。
「ダーリンキッチン自然火食」は米国飼料検査官協会(AAFCO)の栄養基準に合わせてHACCPの認証を獲得した工場で生産している。
5キロのペット犬が1日2回摂取できるように100グラム単位で個別包装し、いつでもどこでも食べることができるよう便宜性も高めた。
「大企業とスタートアップが競争できるポイントは、より多くの新鮮な材料と利便性だと見ています。生産工場を月に一度訪問し、火食飼料を食べながら味に変化がないかを確認しています」
イ代表の持論だ。
ダーリンキッチンの自然火食は、消費者の再購買率が40%に達するほど大きな反響を得ている。
最も人気のある商品は「牛肉&鶏肉自然火食」だ。ダーリンキッチンは今年、鮭と馬肉の凍結乾燥に領域を拡大した。また、馬肉を主材料とした自然火食を発売し、天然栄養剤の開発も推進する予定だ。このため、7月の投資誘致も準備している。
「投資誘致後、本格的なマーケティングと製品開発をする計画です。今年の売上高10億ウォンを目標に、多様な方法で消費者にダーリンキッチンを知ってもらいたいと思います」
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