2024 年 5月 2日 (木)
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中途半端な第2のベンチャーブーム

 コラム 

MONEYTODAY未来産業部長 イム・サンヨン

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先日、韓国・大田(テジョン)で、地元のスタートアップ代表と会った。創業プロセスの厳しさについて語りながら、突然こんな質問を投げかけてきた。

「ソウルに行くべきでしょうか」

ビジネスで顔を合わせる顧客企業、投資家らが「ソウルにはいつ行くのか」「行くべき時期になったのではないか」と促すという。知人でさえ、似たような質問をするのだそうだ。思いもよらなかったことが悩むになってしまった。

「創業してみて、地方企業に対する認識が非常に低いことを実感しました。地方にいると言えば、まず金がないのではないかとか、問題があるのではないか、という否定的な視線を向けてきます」

故郷を離れたくない。だが、会社の将来を考えると、それは果たして正しい選択なのか。彼は「わからない」という。

非対面経済では地域間、国家間の境界が消えつつある。だが、韓国の地域不均衡の問題は依然として深刻だ。人材も資本も首都圏に集中する「偏り現象」が日増しに深刻になっている。

この現象は創業の場合も同じだ。「第2ベンチャーブーム」が起きるのに、その風と熱気は、首都圏から遠ざかれば遠ざかるほど、消えてしまう。「首都圏一極集中主義で将来の希望が見えない状況」。“ベンチャーのゴッドファーザー”と呼ばれるイ・グァンヒョン韓国科学技術院総長が指摘したほどだ。

中小ベンチャー企業省の地域別ベンチャー投資資料を見れば、創業市場の地域不均衡がはっきりわかる。

ベンチャー投資は、当該地域の創業活性化を判断する主要指標の一つだ。同資料によると、昨年のベンチャー投資額は7兆6802億ウォンと過去最高となった。このうち、ソウル・京畿(キョンギ)・仁川(インチョン)など首都圏のベンチャー投資額は5兆7672億ウォンで全体の75.1%を占めた。前年(72.0%)比3.1ポイント上がった数値だ。首都圏のベンチャー投資比重は2017年の75.7%から2019年71.8%まで下がったが、2020年には72%と再び高まり、昨年は5年前の水準に戻った。

一方、同期間の非首都圏ベンチャー投資の割合は16.7%で、前年比3.4ポイント下落した。非首都圏のベンチャー投資額は合計1兆2795億ウォンで、京畿道(キョンギド)の1兆3071億ウォンより少ない。特に、広域市を除いた地方のベンチャー投資額は5659億ウォンで、海外企業の投資額(6335億ウォン)にも及ばない。

はなはだしくは、ベンチャー投資が減少した地域もある。

済州(チェジュ)や蔚山(ウルサン)は計375億ウォンと、前年比それぞれ0.8ポイントと0.6ポイント減少した。済州の場合、3年連続での下り坂となった。第2ベンチャーブームにもかかわらず、首都圏と非首都圏創業市場の温度差が大きくならざるを得ない理由だ。

地域不均衡を解消する方法の一つが、地方を代表する優良企業を数多く育成することだ。創業はその始まりだ。非首都圏創業を活性化するためには、何よりも固定化したベンチャー投資の「富む者はますます富み、貧しい者はますます貧しくなる」という状態を解消することが重要だ。

地方の人材が資金調達の心配なく起業し、会社を育成できるようにすべきだ。こうした点で中小ベンチャー企業省が最近、4700億ウォン規模の地方専用ファンドを組んで、非首都圏のベンチャー・スタートアップに集中投資することにしたのは歓迎に値する。ただ、このような措置がその場限りで終わってはならない。

同時に、第2ベンチャーブームで民間投資が増えるだけに、ベンチャーキャピタルアクセラレーターなど、中心的な投資者が非首都圏の有望ベンチャー・スタートアップの発掘・投資に積極的に乗り出すよう誘導しなければならない。韓国のベンチャーキャピタルとアクセラレーター10カ所のうち7カ所以上が首都圏に集中している。そのため、地方の起業家は忙しい時間を割いて、ソウルを行き来するのが常だ。ベンチャー投資の首都圏集中現象がなかなか解決しない理由でもある。

韓国政府が、ベンチャー投資の呼び水であるモテファンドに出資する際、地方投資で成果を出しているベンチャーキャピタルやアクセラレーターに加算点を与えたり、最初からモテファンドの出資条件に地方投資の比重を一定部分義務付ける方法を導入して、首都圏だけに集中した流れを非首都圏に回す必要がある。誘い水とは元来そんな時に使うものだ。

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