現場ルポ
韓国で屋外マスク着用義務化指針が解除されてから1カ月近くが経ち、野外フェスティバルのステージが本格的に復活したようだ。ほとんどの市民は日常に戻れて嬉しいという反応だが、一部はマスク未着用による副作用などに不満を表わしている。
チケット前売りプラットフォームインターパークによると、今年の第2四半期(4~6月)コンサート公演の販売金額が昨年同期に比べ267%増加した。また、第2四半期に予定されているコンサートの数も、昨年の246から今年は353に43.5%増えた。
ソーシャルディスタンスの解除、屋外でのマスク着用解除などとも相まって、これまで厳しいソーシャルディスタンス政策で影響を受けたコンサートなどの業界が好況だ。野外活動をするのに適した季節的影響に加え、新型コロナウイルス感染が完全に終息していない時の密閉された空間より、野外で楽しめるフェスティバルに需要が集中しているものと分析される。
「ソウルジャズフェスティバル2022」「ビューティフルミントライフ2022」「ピークフェスティバル」「仁川ペンタポートロックフェスティバル」などは、2019年以来の開催となった。
ソウルに住むイさん(25)は先週末、3年ぶりに蘭芝漢江(ナンジハンガン)公園を訪れた。「これまで、小規模な公演は可能だったが、こうした野外ステージで歌手と一緒に歌うことができるのは新型コロナ感染拡大以来初めて。久しぶりにストレスを解消し、8月には他のフェスティバルに行こう、と前売り券を買った」。イさんは気持ちを高揚させていた。
会社員のユンさん(25)も、週末を利用して友だちとオリンピック公園で開かれた「ソウルジャズフェスティバル」に行ってきた。「人が大勢集まっていてマスクを着用しなければならなかった。でも管理は厳しくなく、みんなそれを守っていなかった。日常に戻ったようで夢のような不思議な気持ちだ」と語る。
野外のイベントだけでなく室内での公演も大幅に増え、ファンはときめいている。
月に2回以上ミュージカルを見るというイさん(25)は「ソーシャルディスタンスが厳しかった時には予約が取り消されたこともあったけど、今は席が増えてチケットが簡単に取れるようになった」と肯定的な反応を示した。
ユさん(27)は今月だけで5本の演劇を予約したという。「これまで通り趣味の生活をすることができるようになって、やっと息抜きができる。コロナは終わっていないが、徐々に日常に戻ってきているようだ」と話した。
ただ、一部の市民はマスク着用をしないことから問題が生じていると訴えている。人が殺到し、喫煙、ゴミなどによって不快感が高まるというのだ。
ソウル市松坡(ソンパ)区蚕室(チャムシル)総合運動場の近くに住むチェさん(57)は、連日開催される公演を喜んでばかりではない。「近隣住民としては迷惑なのは事実だ。公演会場周辺に人が集まって、自然とマスクをとって道でタバコを吸う人が増えた。散歩しながら、吸い殻などゴミは前よりはるかに多くなったと感じる」と吐露した。
先週末、ピークフェスティバルに参加したイさん(27)は「外から食べ物が持ち込めず、中で売っている物だけ食べることができた。コーヒーやチキン、ハンバーガーなどを食べて、そのままゴミを捨てていく人がいた。ゴミ箱がなかったわけでもなく理解できない行動だ」と話した。
イさんととともに参加したキムさん(27)も「これから蘭芝漢江公園では他のフェスティバルも開かれるというから、大量のゴミがたまるのではないか心配だ」と話している。
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