現場ルポ
女性障害者が妊娠や出産を否定されたり強制不妊手術をする理由には、性犯罪に相対的に狙われやすいという心配があるからだ。その一方で、恋愛をして出産し、家庭を築いて暮らしている障害者も少なくない。それゆえ、障害者の性的自己決定権を過度に抑制すべきではない、という点をめぐって賛否両論が飛び交うことになる。
この議論の根拠を、単に「障害者の身体・精神的な限界」に求めてはならないという専門家の声がある。「『加害者が障害を悪用した』という判断の方法に問題がある。加害者は社会的に弱い立場につけ込んでいるのだ」
障害女性共感のイ・ジンヒ代表はこう非難する。
もちろん、発達障害者の性的自己決定権を絶対的に尊重する場合、それが悪用される恐れがある。一方で、犯罪を認定する際、「障害を持つ当事者の認識・決定権」を判断基準から除外してしまえば、障害者差別はさらに根強いものになってしまう――これが専門家の見解だ。
イ・ジンヒ代表は次のように訴える。
「多くの社会的権利がないがしろにされてきた人たちが、なぜ性的権利だけが保障されるというのか。障害のある女性にとって権利、支援、人的・物理的ネットワークの中で脆弱なものは何か。そして彼らの同意・反対の意思が受け入れられない理由は何か、複合的に考える必要がある」
実際、韓国の大法院(最高裁判所)は障害者に対する性犯罪について、次のような判例を示したことがある。
「被害者の精神上の障害程度のみならず、被害者と加害者の身分をはじめとする関係、周辺状況や環境、加害者の行為内容と方法、被害者の認識と反応内容を総合的に検討しなければならない」(最高裁判所2007年7月27日宣告2005도2994判決)
「性的関係について、障害者女性に同意の有無を問うのではなく、供述の資格があるかどうかから確認するという行為は、障害のある女性の性的権利を尊重していないやり方だ。『障害があるから』という理由で物事を抑えこんでしまえば、自己決定権と選択権を矮小化することになる。これは、障害者が暴力に抵抗することを、さらに困難にすることにほかならない。平等であってこそ安全でいられるのだ」
イ・ジンヒ代表はこう力を込めた。
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