
ソウル市の北部に位置する城北(ソンブク)区で、外国人観光客の姿が増えている。これまで明洞(ミョンドン)や弘大(ホンデ)などの繁華街に比べて目立たなかったが、韓国美術館や仏教寺院、ローカルな街並みが“韓国らしさ”を求める旅行者を惹きつけている。
観光客の目的地となっているのは、韓国初の私立近代美術館「澗松(カンソン)美術館」と、かつて高級料亭から寺に生まれ変わった仏教寺院「吉祥寺(キルサンサ)」。両施設をめぐるツアーは、今年初めて試験的に実施された外国人向けプログラム「ARTS IN SEOUL」の一環で、全5コースのうちの1つに含まれている。
プログラムは10月から実施され、これまでに33カ国・114人が参加。そのうち20〜30代の若年層が8割超、女性は9割以上を占めた。参加者の国籍はフランス、米国、ベトナム、マレーシア、中国など多様だ。
ツアーはまず澗松(カンソン)美術館を訪問。ここは1938年、文化財収集家・チョン・ヒョンピル(全鎣弼)氏によって設立され、日本の植民地時代に海外流出の危機に瀕した多くの文化財を私財で守ったことで知られる。
現在は、チョン氏の収集品を含む展覧会が開催中で、20世紀初頭の他のコレクターの所蔵品もあわせて展示されている。
次に訪れたのは、かつて高級料亭「大苑閣(テウォンガク)」の跡地に建てられた「吉祥寺」。法話や写経体験などが可能な寺として知られる。
紅葉が見頃を迎える中、参加者たちは境内を散策しながら写真撮影に興じた。法堂の裏手には、ポプチョン(法頂)僧侶が実際に使っていた執務室「眞影閣(ジニョンガク)」も保存されており、見学者の関心を集めた。
体験のひとつとして、仏教建築の装飾に使われる「丹青(タンチョン)」の模様を色付けするワークショップも催された。完成した作品はその場でオーブン加工され、キーホルダーとして持ち帰ることができる。
最後は、僧侶との茶話会。参加者からは「瞑想中に雑念が浮かぶときはどうしたら?」「人間関係の未練をどう整理する?」などといった質問が飛び交い、通訳を介して対話が続いた。
カナダ出身の女性(32歳)は「僧侶と直接対話したのは、韓国で最も特別な経験の一つだった」と語り、他の参加者も深く頷いていた。
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