2024 年 5月 4日 (土)
ホーム政治北朝鮮「独裁、永遠ではない」国連に鳴り響いた脱北者の声

「独裁、永遠ではない」国連に鳴り響いた脱北者の声

17日(現地時間)、国連安全保障理事会開催の会合で発言するキム・イルヒョク氏(c)NEWSIS

国連安全保障理事会は17日(現地時間)午前、2017年から6年ぶりに北朝鮮の人権問題を議題に公開会合を開いた。この日の会合には2011年に脱北して韓国で大学を卒業したキム・イルヒョク氏が参加し、北朝鮮の人権問題について証言した。

日本と韓国、米国が開催を要請した今回の会合は、当初、常任理事国である中国などの反対で投票を経るものと予想された。しかし、反対の表明がなく、投票なしに議題が採択された。

◇「北朝鮮住民の血と汗を、贅沢とミサイルに注ぎ込む」

キム・イルヒョク氏は同日の会合で、「北朝鮮政権には住民のための政策はない。政権はわれわれの血と汗を指導部の贅沢な暮らしと空へ飛ばすミサイルに注ぎ込む」と述べた。

北朝鮮がミサイル1発に使う費用で、われわれを3カ月間食べさせることができる――と訴えたうえ「しかし、政権はこれを気にせず、ひたすら権力維持と核兵器開発、彼らの行動を正当化する宣伝活動だけに注意を払っている」と訴えた。

この日、キム・イルヒョク氏は北朝鮮に残った叔母が当局に捕まり、拷問され、収容所で死亡した状況を語った。

キム・イルヒョク氏は最後に、韓国語で「独裁は永遠に続かない」「これ以上罪を犯さず、今からでも人間らしい行動をせよ。北朝鮮の人々も人間らしい人生を自ら選択する権利を持っている」と訴えた。

◇中国とロシアは擁護

会合に出席したエリサベス・サルモン国連北朝鮮人権状況特別報告者は「北朝鮮の人権状況が悪化し続けている」と指摘し、食糧や医療へのアクセス問題などを取り上げた。合わせて「安保理が人権保護を、朝鮮半島の平和と安保の議題の中心に置くことを促す」と話した。

米国のトーマスグリーンフィールド国連大使は「人権なしには平和を享受できない。北朝鮮がその例だ」「金正恩総書記は、抑圧的で全体主義的な社会統制により、資源を大量破壊兵器(WMD)と弾道ミサイル開発に使う」と指摘した。

日本の石兼公博国連大使は「人権じゅうりんと国際平和、安保がつながっているという事実が、北朝鮮ほど明確になっている国はない」「このような深い憂慮を扱うことが、安保理の今後の任務の明確な中心にならなければならない」と述べた。

一方、中国とロシアは安保理での人権論議に不満を示した。中国の耿爽国連次席大使は「国連憲章によると、安保理の優先すべき責務は国際平和と安全の維持であり、人権問題への対応ではない」と主張したうえで「北朝鮮の人権状況は国際平和と安全保障の脅威ではない」と強調した。

ロシアのポリャンスキー国連次席大使も人権問題は安保理権限に属さないと述べたうえで「今日の会合招集は、米国と同盟国が域内で実施している緊張を高める無謀な行為から注意をそらし、北朝鮮への圧迫を高めようとする自己中心的で偽善的な試みに過ぎない」と強調した。

北朝鮮を擁護する中ロによって理事会レベルの声明などは出なかった。ただ、日韓米の主導で複数の国が会議後、声明を発表し、「北朝鮮政権は、住民の福利を武器開発資源に転用している」「すべての加盟国が北朝鮮の人権と国際平和と安全の間の連結性に対する認識を向上させることを願う」と強調した。

(c)NEWSIS

RELATED ARTICLES

Most Popular