韓国で矯正施設の過密収容問題は何年もの間、足踏み状態が続いている。
1人当たりのスペースが「最小収容面積」にさえ及ばず、人権侵害という指摘が相次いでいる。それでも、適切な解決策が見当たらない。
矯正施設の拡充は地域住民の感情と、仮釈放の拡大は国民感情と、その都度、衝突する。
韓国の国家人権委員会は昨年1月、法相に矯正施設の過密収容問題の解決に向けた対策を講じるよう勧告した。1人当たりの収容部屋面積が、人としての基本欲求も解消できないほどの狭さであるならば、国の刑罰権行使の限界を越えた「非人道的な処遇」ということになる。
首都圏の拘置所と刑務所などに収容されていた4人は、過密収容で基礎疾患が悪化し、精神的苦痛を受けたとして、人権委に陳情している。
調査結果、4人は定員を超過した収容空間で生活していたことが判明した。中には1人当たり約1.40平方メートルの空間で15日ほど生活したケースもあった。複数人の収容空間における最小面積は「1人当たり2.58平方メートル」と法務省は定めている。
◇「法曹タウン」という発想
「嫌悪施設」とみなされる矯正施設の新設・移転は、地域住民の感情とぶつかるため、容易ではない。
法務省は京畿道(キョンギド)華城市(ファソンシ)馬島面(マドミョン)に2026年の完工を目標に、サッカー場3倍の大きさの女子刑務所の新設を進めている。
女性専用の矯正施設は韓国には「清州(チョンジュ)女子刑務所」の1カ所しかない。ここでも収容過密問題が発生し、解決を迫られている。
だが、住民らは「すでに外国人保護所と職業訓練刑務所がある馬島面に、さらに刑務所を建てるのか。あり得ない」と撤回を求め、矯正施設の周辺に「馬島面は嫌悪施設の集合所ではない」「馬島面内矯正施設タウン化決死反対」などの垂れ幕を掲げている。
こうした状況について、仁荷(インハ)大学法学専門大学院のウォン・ヘウク教授は次のような見解を示す。
「裁判所や検察庁から地下に通じる仁川(インチョン)拘置所・ソウル東部拘置所のように、法曹タウンを新しく作る際、拘置所もあわせて建てれば拒否感が少ないだろう」
(つづく)
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