2024 年 5月 18日 (土)
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「女性の割合が51.7%」…Netflix、Googleが「S」に本気な理由は?

SDGs~韓国の取り組み

2月10日、ネットフリックスは自社の2度目の多様性報告書を発表した©news1

米動画配信大手ネットフリックス(Netflix)は先月2日、自社の「2021年多様性報告書」を発刊し、「さまざまな国や文化の出身である利用者に楽しさを提供するためには、仕事場やコンテンツ内に同様の多様性が必要だ」と強調した。多様性報告書発行は多様性と包容という価値を高めるというESG経営戦略の一環で、昨年に続き2回目。

このようにグローバルメディア・プラットフォーム企業が多様性を強調し、ESGの中でも「S」、すなわち社会部門に力を注ぐ動きを見せるなか、韓国国内の業界でも、この分野に対する努力が必要だという指摘が出ている。

◇ネットフリックスの場合

ネットフリックスの報告書には、組織構成員の性比や人種比率とともに、自社オリジナルコンテンツの多様性のレベルを分析する内容が盛り込まれている。

それによると、昨年のネットフリックスの全体構成員のうち、女性が占める割合が51.7%に達した。これは前年(47.1%)より小幅増加のレベルだ。 女性役員の割合も、前年度の47.6%から昨年は51.1%に伸びた。

人種や国籍では、昨年の米国職員全体の50.5%が黒人、アジア系、ヒスパニック・ラテン系、中東・北アフリカ出身、アメリカ先住民などだった。 前年度(46.4%)に比べ、小幅な上昇を見せた。

このように、ネットフリックスが多様性や包容性に重点を置く理由は、利用者が世界各地にいるため、コンテンツにおける多様性の確保が求められているためだ。それゆえ、制作する側に多様性があることが前提となるという判断からだ。

情報通信政策研究院(KISDI)放送メディア研究本部長のソン・ウクジェ氏は「ネットフリックスの場合、グローバルでありながら地域に合わせた戦略によってコンテンツを供給するため、構成員の多様性も大いに考慮している」と述べた。

◇ESGのうち「社会」部門に力を注ぐグローバル企業

多様性と包容の価値を掲げる企業は、ネットフリックスだけではない。Googleも2018年から多様性報告書を発刊している。同社は、ネットフリックスと同様、最高多様性責任者(CDO=Chief Diversity Officer)の職責を別途設けている。

このようにグローバルメディア・プラットフォーム企業が多様性に注目する理由は、ESG戦略がグローバルトレンドに浮上したからだ。特に、市場内で人権に対する感受性が高まり、環境・社会・支配構造の中でも社会部門が企業の価値を評価する尺度となっている。

また、消費者が、自身が目指す価値に基づき消費する「価値消費」行動が目立ち、社会部門がより重要になった。

韓国企業支配構造院(KCGS)のチョン・スンヨン専任研究員は「社会部門の場合、多様性や人権のように労働者と密接な部分が多く、特にB2Cのように消費者と接点がある企業は、こうした問題が消費者にも影響を及ぼすため、関心を抱いている」と解説する。

Googleが発刊した2021年度の多様性報告書に組織構成員の性比・人種比率に対する統計が盛り込まれた(Google多様性報告書のまとめ)©news1

◇新型コロナでESGへの関心拡散

半面、韓国ではまだESG分野のうち、社会部門への関心が高くない。

昨年、大韓商工会議所が韓国生産性本部とともに国内企業300社を対象に実施した調査結果、ESGのうち最も重要な分野を尋ねた質問に、回答企業の60%が「環境」を挙げた。社会部門は23.3%、支配構造は16.7%にとどまった。

韓国メディア、プラットホーム業界でも、持続可能な経営報告書、ESG報告書などを発刊する企業はあるが、組織内の多様性などに関する統計を発表する企業は5社程度だ。

チョン専任研究員は「国内企業の場合、ESG経営において成長段階。特に新型コロナ以降、勤労者の人権、安全などに対する関心が高まり、ESGのうち社会部門に対する認識が高まった」と指摘する。

結局、ESG経営方針がグローバルトレンドとなり、国内企業各社も同様の傾向に合わせざるを得ないだろうという見方も出ている。

ビジネスコンサルティング「オープンルート(OPEN ROUTE)」のキム・ユソク室長は「国内メディアコンテンツ企業も、国内市場だけでなく海外市場も念頭に置く必要があるため、こうしたESG活動に対する重要性を認識している。個別企業のレベルにとどまらず、産業生態系全般で、多様性を高めるための努力が必要」との見解を示している。

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