理想的な配偶者の職業として公務員が1位になった時代はもう過去のものだ。
昨年、結婚情報会社デュオが未婚男女を対象に調査した結果、1位は男女共に「一般事務職」だった。18年間不動の1位を記録した「公務員・公社」は2位に落ちた。会社員コミュニティにも「恋人が9級公務員なのに結婚してもいいのか」「結婚を放棄するしかないのに公務員になってもいいのか」などの投稿が寄せられた。
人気が落ちたのは、業務環境と報酬面で民間より劣るという認識のためだ。
MONEYTODAYは最近の就職準備生、現職公務員、元公務員ら20~30代の青年20人余りを対象に「公務員という職業に対する考え」を尋ねた。彼らの回答に共通するキーワードは「月給が少ない」「社会的認定不足」――などだ。
◇「安定」よりも「不安」
ソウル市庁で9級(日本の地方初級に相当)の公務員として3年以上勤務し、昨年辞めて創業をしたという28歳男性、キムさん。
「当時は基本給が139万ウォン(1ウォン=約0.1円)だった。ここに食事代、夜勤手当などまで全て含めても170万ウォンほど。食べていくので精いっぱいで、貯蓄なんて夢のまた夢だった」
人事革新処によると、今年9級公務員1号俸月給は177万800ウォンだ。民間と比較した公務員の報酬は2020年90.5%から2021年87.6%、2022年82.3%と減っている。
「安定した職場を夢見て公務員になったが、現実はむしろ不安だった。公務員生活の中で、パニック障害を患った。窓口に来る人に悪口を言われるのは当たり前。中には凶器を持って訪ねて来る人もいた。だが、何の制裁もできず、大変だった。鏡に映った自分を見て、とてもかわいそうに感じた」
キムさんはこう打ち明けたうえで、次のように語った。
「熱心に仕事をしても常にその場限りという思いがあった。会社員ならば、熱心に仕事をして成果を出せば、それだけの報酬を受けられるのに、そのようなことがまったくなかった。使命感を覚えるほど報酬がない中で、なぜこの仕事をしなければならないのか疑問に思った」
◇「風邪をひきながら仕事をする」
ある法務法人に転職した元検事の話はこうだ。
手当てを除けば基本給として月340万ウォン程度。大型法律事務所と比較すると、半分にもならない月給だった。使命感を持って検事を始めたのに「公務員は公奴隷」のような言葉を聞く。そのたび「なぜ私は熱心に働いているのに悪口を言われなければならないのか」という気持ちが強くなったという。
「毎朝9時から夜10時まで仕事をした。冬は公共機関のエネルギー節約で暖房も入れてもらえず、毎日ダウンを着て風邪をひきながら仕事をするのが悲しかった。お金はたまらず、個人のワークライフバランスに健康まで気を配ることができないので、もう脱出しなければならないと感じた」
元検事は自身が抱いた違和感を次々に並べた。
「最近、周囲の事務官を見ても『なぜあの時に公務員試験を受けたのか』と嘆いている。今や年金のメリットも若い公務員には意味がない。退職すれば月100~200万ウォン程度受け取るはずだが、むしろ今たくさん稼いで貯蓄に回した方が良い」
(つづく)
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