2024 年 5月 20日 (月)
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公務員は辞表を出して「創業に挑戦」 [KWレポート] 韓国的「官尊民卑」の終末 (1)

ソウルで開かれた公務員準備学院説明会の様子。1時間ほどのオフライン説明会に受験生7人が参加した(c)MONEYTODAY

韓国ではかつて、公職に就くのは大きな栄誉だった。公務員は官職だった。

だが今は違う。公務員になろうという学生がいない。

現職の公務員も民間転職を夢見る。最近まであった「官尊民卑」(官僚を優遇して民間を低く扱う)という前近代価値観が崩れそうだ。突然の変化に否定的な面もなくはない。公共サービスの質が落ちれば、つけはそのまま市民に回る。

パラダイムの変化に直面した今を記録する。

◇消えた公務員試験の挑戦者

「国家9級、30年ぶりの最低競争率を記録。今こそ公務員試験に挑戦するのに最良の時期です」

今年6月13日、ソウル市銅雀区鷺梁津(ノリャンジン)の公務員予備校。来年の国家9級(日本の国家Ⅲ種に相当)試験を控え、予備校では合格戦略説明会が開かれた。この日の説明会に出席した学生は計7人。新型コロナウイルスの感染拡大以降、久しぶりに開かれたオフライン説明会だったが、空席が目立った。かつて説明会を聞くために講義室の座席がぎっしりと埋まっていたことを考えると、隔世の感があった。

予備校側は「過去最低の競争率を記録した今が、公務員試験を受けるチャンスだ」と言う。

関係者は「鷺梁津だけでなく、全国的に公務員予備校の学生が減っている」と指摘する。さらに「公務員の採用を絞ったり、コロナ後、企業が採用を増やしたりしたためだ。今後は現役生より浪人生が多くなるだろう」と話す。

◇「依願退職」比率も急増

過去には職業人気度1位、配偶者職業人気度1位を記録した公務員だ。

だが、今はそんな雰囲気はない。

公務員の競争率は年々落ちる。同時に、公職に就いたのに企業に転職する「依願退職」比率は急激に増えている。

与党「国民の力」所属のオク・ジェウン(玉在恩)ソウル市議が6月25日に公開した資料によると、9級公務員試験の競争率は2013年の84倍から昨年22倍まで下がった。任用5年目以下のソウル市公務員の依願退職率は2019年には4.7%だったが、昨年は8.6%で2倍近くになった。

公務員の人気が以前ほどではないということは、大学街でも簡単にわかる。5月、ソウルのある大学で開かれた「ソウル市公務員準備や公務員役割」説明会は、30人の定員に対し、参加者は7人だけだった。昨年実施した「5級公開採用告示説明会」には定員200人で申請者は9人。同じ時期に開かれた大企業採用説明会には100人余りが集まった。

(つづく)

(c)MONEYTODAY

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