現場ルポ
◇ガス料金“爆弾通知書”
ソウル市江東区(カンドング)に住むチョンさん(35)は数日前、10月のガス料金通知書を受け取ってびっくりした。9月のほぼ倍近い料金になっていたためだ。チョンさんは「暑いのは我慢すればいい。しかし、暖房はつけないと、冬が怖い」とため息をついた。
今年に入って3回引き上げられたガス料金“爆弾通知書”を受け取った市民らは悲鳴を上げている。さらなる料金引き上げの可能性も残されており、庶民や自営業者は戦々恐々としている。
オフィステルに居住する会社員のキムさん(31、女)の場合も同じだ。キムさんの今年10月のガス料金は2万2390ウォン(約2315円)だった。9月分(1万900ウォン)から105.4%増、前年同月(1万9700ウォン)比でも13.7%増だ。
今年は11月まで暖かく、昨年と違って10月にボイラーをほとんど焚かなかった。にもかかわらず、ガス料金の支出は大幅に増えたのだ。
「高金利のため、住宅ローンの利子を払うのもぎりぎりなのにガス代まで上がって……。暖房もまともにつけられず、寒い冬を過ごさなければならない」
キムさんはこうため息をついた。
キムさんだけではない。ママカフェなどオンラインコミュニティなどでも「昨年10月には『計量器使用量63』で3万800ウォンだったのに、今年10月は使用量は60に減ったにもかかわらず料金は5万ウォンを超えた」「温水だけ使っていればガス料金は1万ウォンを超えたことがない。なのに今回大幅に増えた」などと、急激に高くなったガス料金に対する書き込みが相次いだ。
◇「練炭を使って節約」
自営業者も同じだ。
飲食店、美容室、宿泊施設などに適用される「ガス料金(営業用1)」は今年10月、16.60ウォンから16.4%引き上げられて19.32ウォンに。銭湯やゴミ焼却場などに適用される「ガス料金(営業用2)」も15.60ウォンから17.4%引き上げられて18.32ウォンになった。
ソウル市鍾路区(チョンノグ)で231平方メートル(70坪)規模の食堂を経営するパクさん(64)は「ガス料金が上がり、客のいる部屋だけ暖房を入れて節約していく。人件費に賃貸料まで上がり、練炭を使いながら節約するつもりだ」と不満を吐露した。
このようにガス料金の引き上げ体感を訴える市民が多いのは、短期間で急騰したためだ。
韓国地域暖房公社は家庭用ガス料金を2020年7月から今年3月まで1メガカロリー当たり65.23ウォンを維持してきた。しかし、今年10月現在のガス料金は1Mcal当たり89.88ウォンで、前年同期比37.8%も引き上げられた。
崇実(スンシル)大経済学科のチョ・ソンボン教授は「ロシアのウクライナ侵攻で、ロシアがガスを売っていない。世界的に液化天然ガス(LNG)を多く購入しているため、価格が大幅に上昇している。韓国ガス公社が輸入する価格より安く販売したため、赤字が大きく、もう耐えられない状況になった」と説明している。
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