新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」の拡散がとどまらず、韓国の与野党は大統領選を約40日後に控えて、新型コロナが投票行動にどのような影響を及ぼすか注視している。
政界関係者によると、与党・共に民主党は「科学防疫」「十分な支援」を通じて支持層を結集し、中道層を取り込むという戦略。保守系野党・国民の力はこの2年間、防疫政策に対する疲労感が各地で蓄積しており、国民が政府・与党に厳しい審判をすると期待している。
オミクロンの感染再生産指数(感染者1人がさらに感染を起こす程度)は12前後。昨年4月末に発見されたデルタ(6~7)の2倍レベル。大統領選を約40日後に控え、オミクロンが本格的に拡散傾向になった状態だ。専門家はオミクロンによる感染者の規模は最大10万人まで増える可能性があると警告する。
これを受け、キム・ブギョム(金富謙)首相は24日、談話を出して「今回の旧正月も、みなさんの安全と健康のために故郷への訪問を控えてほしい」と国民に呼びかけた。
国民の力は、今月30または31日に予定されている、同党大統領候補、ユン・ソンヨル(尹錫悦)氏とイ・ジェミョン(李在明)「共に民主党」候補とのテレビ討論を足がかりに、支持拡大を図りたいところだ。ただ、政府の旧正月移動の自粛要請により、計画の修正は避けられない情勢だ。
国民の力関係者は「新型コロナが拡大してから2年間、政府・与党は重要な選挙のたびにコロナを利用してきた。昨年、段階的に日常を回復すると言った時からこうした事態は予想していたが、やはりそうだった」と述べた。
ただ、オミクロンの拡散傾向は必ずしも不利ではないという判断もある。有権者がこれまでの防疫政策で不合理な経験をしたため、政府・与党に近づこうというムードがつくられる可能性は少ないと考える。
また、国民の力は、オミクロンの拡散傾向が来月さらに強まるものと予想する。選対本部関係者は「政府・与党の防疫政策を批判しながら、選挙運動は非対面で、効果的にできる方法を講じている」と話す。
共に民主党側は、オミクロンの拡散傾向は投票行動に直結しないと見ている。科学的防疫とこれによる十分な補償がツートラックで進めば、政府の対応の信頼度を高めることができるという判断からだ。
同党幹部はnews1の取材に対し「拡散傾向が続けば(防疫措置を)解除しないのが普通だ。われわれは科学的な防疫の立場で対処しなければならない。新型コロナを政治的な判断で扱ってはならない」と語った。政府の新型コロナ対応を肯定する世論が否定よりも高いという世論調査の結果も、民主党の政策に自信を与えているとみられる。
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