2025 年 12月 10日 (水)
ホームライフスタイルトラベル「こんなに感性的なソウル、知らなかった」…アナログな空間で“静かな癒やし”『シネマティック・ソウル旅行』に注目

「こんなに感性的なソウル、知らなかった」…アナログな空間で“静かな癒やし”『シネマティック・ソウル旅行』に注目

ソウルアートシネマのラウンジ=ソウル観光財団提供(c)news1

冬の季節を迎えたソウルで、“アナログ感性”が息づく空間が注目を集めている。急速に進むデジタル社会のなかで、ゆったりとした鑑賞の時間と個々の趣味を尊重する空間が、静かに旅行者や市民に寄り添っている。

ソウル観光財団はこのほど、冬におすすめの屋内観光コースとして「シネマティック・ソウル(Cinematic Seoul)」を提案。クラシック映画館からレコードショップ、映画専門書店まで、アナログの魅力を味わえる4つの空間を紹介した。

◆クラシック映画の殿堂『ソウルアートシネマ』

中区(チュング)にある「ソウルアートシネマ」は、映画史そのものを体験できる空間として、フィルム上映や監督特集上映を続けている。デジタル全盛の中でも、“アナログの鑑賞体験”を守る場所として高く評価されている。

2002年に韓国初のシネマテーク専用館として開館。2022年に現在の場所へ移転した後も、クラシック映画の保存と上映を継続。映画を「コンテンツ」ではなく「文化」として捉える視点を育てている。

監督・作品を深掘りする映画文化のアーカイブとしても機能し、復元フィルムの特別上映や研究者を招いた企画なども開催している。

12月は日本の黒沢清監督の特集を開催中(〜21日)。このほか、貴重な映画ポスターの展示や、小規模なゲストトークなども展開する。

◆“小さな映画館の美学”『ライカシネマ(LAIKA CINEMA)』

2021年にオープンした「ライカシネマ」は、独立映画や芸術映画に特化した単館映画館。感覚的なインテリアと高品質な映像・音響設備を兼ね備え、「没入感」を追求した空間となっている。

37席のコンパクトな空間ながら、観客とスクリーンの距離が最適に設計され、物語やミザンセーヌ(演出)を深く味わえる環境が特徴。屋上にはルーフトップガーデンもあり、鑑賞前後の余韻を楽しめる。

上映プログラムも独自性が高い。新鋭監督の特集や、ジャンル・国別の企画上映、配給会社とのコラボ上映など、多彩なキュレーションを手掛ける。

今月は『幸福なラザロ』『Sound of Falling』『遠くて近い』などを上映している。

◆LPと映画OSTの空間『マイ・フェイバリット(My Favorite)』

麻浦(マポ)にある「マイ・フェイバリット」は、レコードや映画サウンドトラック(OST)、コレクター向けグッズを扱う独立系ミュージックショップ。アナログな音と空気感が漂う、冬にぴったりの静かで感性的な空間だ。

ジャケットのデザインや、ターンテーブルから流れる温もりある音が、デジタル配信にはない魅力を届ける。クラシック映画のOSTやジャズ、フォークなど、季節感あるキュレーションも特徴的。

店主が書き残した映画メモやコメントも訪問客に人気。専門評論とは異なる、親しみやすく繊細な文章が、来訪者の感性に静かに響く。

◆映画と向き合う書店『コプキノ・シネフィル(KOPFKINO CINEPHILE)』

中浪区(チュンラング)にある『コプキノ・シネフィル』は、映画関連書籍に特化した独立書店。評論、監督論、シナリオブック、海外映画雑誌まで幅広く揃え、地域の映像系学生や若手映画人にとっての文化拠点となっている。

内装は“映画を印刷物として再解釈したギャラリー”のように構成。スティーブン・スピルバーグのサイン入り『E.T.』ポスターや、トム・クルーズ、ポン・ジュノ監督らのサイン入りアイテムが展示されている。

読書会や映画評論執筆会、映画祭レビュー会など、映画にまつわるコミュニティ活動も活発。映画制作から鑑賞、議論に至るまでのエコシステムが日常に溶け込む空間だ。

この冬、デジタルでは得られない“遅い時間”と“深い体験”を求めて、アナログなソウルの旅に出てみてはいかがだろうか。

(c)news1

RELATED ARTICLES

Most Popular