「大きな団地アパートが3カ所集まった町なのに保育園が1カ所も残っていません」
韓国京畿道(キョンギド)龍仁市(ヨンインシ)で2歳の男児を共働きで育てる30代女性のキムさんはこう嘆いた。「子供が通う保育園が28日に廃業する。今後子供をどこに預ければよいのか心配」。少子化で養育環境が悪化、養育環境の悪化で出産を控えるという悪循環をどのようにして断ち切るのか、対策が急がれる。
保健福祉省の「2022保健福祉統計年報」によると、2016年末に4万1084カ所あった保育園は21年末に3万3246カ所に減った。5年間の減少率は20%に達する。
特に家庭保育所の減少幅が大きく、同期間に2万598カ所から1万3891カ所へと33%減少した。民間保育所も1万4316カ所から1万603カ所へと26%減った。
保育園は乳幼児保育法第10条により▽国公立▽社会福祉法人▽法人・団体▽民間▽家庭▽協同▽職場――の7つに分類される。マンション団地など家庭またはそれに準ずるところに設置される家庭保育所は近接性が良く、家庭と似た環境で面倒を見てもらえる点で親が選択しやすい。
保育園が急速に減っている間、老人療養施設は着実に増えた。統計によると、全国の老人療養施設は2016年末3137カ所から21年末5988カ所へと5年間で91%も増加した。
背景にあるのは少子高齢化だ。65歳以上の高齢者人口は2016年末675万人から21年末857万人へと27%増加。全体の16.6%を占める。
◇療養施設に変更する傾向
一方、統計庁が予想した昨年の合計出生率(女性1人が産むと予想される平均子供数)は0.77人。OECD(経済協力開発機構)加盟国の平均合計出生率(2020年時点1.59人)の半分にも満たない。
保育園の建物が丸ごと老人療養施設に変わる事例も報告されている。仁川市(インチョンシ)によると、2019年から昨年末まで保育園・幼稚園が療養院など老人福祉施設に変更された事例が少なくとも12件あるという。
保育園を療養院にリモデリングしたり、業種変更をコンサルティングしたりする業者も登場した。「ボノランド」のハン・ミヌ代表は「少子化で保育園の需要が減り、施設を療養施設に変更する傾向が早まっている。リモデリングの市場規模はさらに大きくなる見通しだ」と明らかにした。
保育園の教師が老人福祉施設などに転職するケースも増えている。京畿道華城市(ファソンシ)の法人保育園で7年間勤務し、最近退社した元職員(31)は「勤務していた保育園でこの3年間、クラスが毎年1つずつ減った。保育園の教師は社会福祉を専攻したケースが多いため、老人福祉会館などに療養保護士として就職しようとする同僚が多い」と話した。
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