2024 年 7月 27日 (土)
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気候変動で動物移動→新たな感染症も

2070年の病原体の種間伝染・人口集中のシナリオ。2070年にはアフリカ赤道付近、中国南部、インドや東南アジアの中心地が、野生動物による種間伝染が多く起こる地域と重なる(Credit:Colin Carlson/Georgetown University)©news1

米ジョージタウン大医療センターのコリン・カールソン(ColinCarlson)博士のチームはこのほど、「気候変動で動物の生息地移動が頻繁になり、哺乳類同士で種を超える病原体の伝染が50年間で1万5000件余り起きる」という研究結果を発表した。国際学術誌ネイチャー(Nature)に先月28日に掲載された。

新型コロナウイルスは、コウモリから人間にウイルスが移ったと推定されている。つまり病原体が種間の障壁を越えて動物から人間に移り、世界中に拡散した。病原体交換の可能性は、種間接触が増えるほど高くなる。

研究チームが課題としたのは「気候変動が野生動物の生息地をどう変化させ、移動の増加によって種間接触がどう増加するか」。これを確かめるため、ウイルス系統学と2070年の土地利用シナリオを利用して、動物の生息地が移動するプロセスをシミュレーションした。

その結果、標高の高い土地▽生物多様性に富んだ場所▽アジアとアフリカの人口密度の高い場所――などで計4000回、新たな種間伝染が起こるという予想が弾き出された。特にコウモリは、体内ウイルスを多く保有し、種間伝染のハブになり得る。加えて飛行能力を持っているため、長距離移動も容易だ。

気候変動のシナリオに当てはめたリンゴ栽培地の変動予測図(韓国農村振興庁提供)©news1

動物よりも植物のほうが気温と降水量などの変動に敏感であり、既に植生の変化は既定事実としてとらえられている。例えば、韓国農村振興庁が先月14日発表した「気候変動シナリオによるリンゴの気候学的栽培地変動予測結果」によると、これまでの30年間でリンゴの栽培が可能だった場所は672万4000ヘクタール。だが2050年には102万~83万ヘクタールに激減する。

こうした植物の分布変化は生態系全般の変化につながりかねない。

©news1

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