2024 年 10月 13日 (日)
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先進国「革新性」だけでOK [KWレポート] 外国人起業の高いハードル (4)

2022年開催の「K-スタートアップ・グランドチャレンジ」(写真=K-スタートアップグランドチャレンジ)(c)news1

米国では、バイデン政権が「外国人事業家特別政策(IER、International Entrepreneur Rule)」を再開した。オバマ政権時代に導入された政策で、トランプ政権で止まっていたものだ。

IER導入以前は、スタートアップの事業実施のために米国に入国、滞在しようとすると、米国土安全保障省(DHS)で事例別の検討があり、特定基準を満たしてようやくビザが発給された。2021年5月にIERが施行されて以降は、議会の承認がなくても比較的早くビザを受け取ることができるようになった。

IERは、5年内の創業▽創業会社で重要な役割を担当(10%以上の持分確保)▽米国内投資家から25万ドル以上の投資誘致▽米政府機関から10万ドル以上の基金・支援金確保――などの条件を満たせば、1社当たり3人までビザを受け取ることができる。

申請者とその家族は、最初の30カ月の滞在期間を保障される。それ以降も、創業した会社が雇用創出や追加投資誘致、売り上げ伸長などの成果を見せれば、追加で30カ月を延長することができる。期間中は他国への出入国も自由だ。

英国では、2015年10月から専門人材に発給する就労ビザ(Tier1)にデジタル技術分野を追加した。英国で創業しようとする動機、事業モデル、企業家経歴、専攻、研究実績などを総合的に検討し、成果が足りないスタートアップであっても審査を通過すればビザを発給する。

ビザを発給された企業家は、最長5年間、英国に滞在できる。追加5年の延長申請も可能だ。2020年までのビザ発給申請557件のうち492件が承認されており、承認率は88%と高い。

また、英国の創業クラスター専門機関「Tech Nation」は、欧州連合(EU)圏域の有能な人材を誘致するための「Tech Nation Visa Scheme」を運営する。ICT分野におけるイノベーション活動への記録と貢献度を証明すれば、無期限の居住資格を取得することができる。

フランスには「French Tech Visa」による、外国人創業者や勤労者、投資家のためのビザ発給のファーストトラック(迅速手続き)という仕組みがある。最初の発給時に4年間滞在可能で、家族にも滞在証が付与される。

オランダは、海外創業者対象の「Orange Carpet」ビザプログラムを運営する。特許の有無とは別に、製品・サービスの革新性を審査する。ビザを発給された創業者は、現地で該当アイテムを事業化する必要があるが、現地の専門家と事業協力協約さえ証明すればいい。

デンマークは、「スタートアップデンマーク(Start-up Denmark)」制度を活用して創業ビザを発給する。創業者がスタートアップ事業計画を提出すれば、専門家が検討して計画を承認する。最長2年まで居住でき、3年ずつ延長可能だ。

(つづく)

(c)MONEYTODAY

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