「努力して得た成果だから嬉しい」。韓国のイムさん(33)は、最近話題になった全羅北道(チョルラプクト)の益山(イクサン)農協の大福を買うために3時間も「列」に並んだ。一種の「オープンラン」(購入のため開店前から駆けつける)であるわけだ。
韓国のMZ世代(1980年代~2000年代初旬の生まれ)の間に「行列」を楽しむ文化が広がっている。ブランド品に限らず、コストパフォーマンスの良い商品を購入するために、何時間も喜んで列を作る。
専門家はこうした現象を次の二つの言葉で説明する。
「小確幸」(日常で得られる、小さくても確実で現実的な幸せ)
「得アイテム力」(支払い能力だけでは得られない希少な物を手に入れる能力)
経済状況が厳しく、物価も大幅に上昇する。そんな憂うつな状況であるため、ブランドでなくても、列に並んで自分の努力によって得ることに達成感を覚えているというのだ。
SNSに「#オープンラン」「#ウェイティング地獄」「#パンケッティング」など、行列に関連した単語を入力すれば、それと関連した書き込みを簡単に見つけることができる。列に並ぶ方法(チップ)を共有し、オープンチャットルームまで開いて情報を共有することもある。
こうした社会的雰囲気の中で、並ぶことを題材にしたバラエティ番組まで登場しているほどだ。
SNSを熱くしている益山農協の大福を購入したイムさんは「義母と協力したことが購入できた秘けつだ」と笑った。「義母が明け方5時ごろに出かけて列に並び、私も起きるやいなや駆けつけて交代した。本当に人が多くて驚いた」
ユンさん(32)は最近、再挑戦の末、ダンダンチキンを買うことに成功した。「ダンダンチキンが話題になって少し時間が経った。いまは熱気が冷めただろうと思って午前中に行けばさっと買えると……。違った。見事に失敗した」
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