
韓国で今、ウェブトゥーンプラットフォームのあり方が問われている。ウェブトゥーン作家を過労に追い込んでいるためだ。
「原稿を2~3個位いつもより少なく出してもよいかと丁重にお願いしたのですが、だめだということでした。その後、下血してしまいました」
「ロクサナ〜悪女がヒロインの兄を守る方法〜」の作家ヨルムピッ(ペンネーム)氏が過労で流産したと8月末、SNSで暴露したことがきっかけだ。
ウェブ漫画「俺だけレベルアップな件」の作画を担当していた漫画家のDUBU(チャン・ソンラク)さんが持病で死亡してわずか1カ月後のことだ。チャン・ソンラクさんも過労死が疑われている。
◇手首が切れてしまいそう…
news1の取材を総合すると、ウェブトゥーン作家たちは一様に過労問題を訴えてきた。
匿名を望むウェブトゥーン作家A氏は「ウェブトゥーン業界の労働環境は、健康な人でも耐えられない深刻なレベル」と明かした。
A氏は4年間、ウェブトゥーンを連載し、手首の状態が悪化して、手首が切れてしまいそうなほど痛く、休もうと横になれば、金縛りにあった――と告白した。髪の毛が抜け、高血圧になった。
A氏は連載期間中、週平均7日、1日平均12時間作業したという。締め切り前の2日間は徹夜で絵を描いた。
韓国コンテンツ振興院の「ウェブトゥーン作家実態調査報告書」2021年版によると、韓国ウェブトゥーン作家の67%ほどが1日10時間以上働いているという。また、70%以上が週6日以上作業していると答えた。

◇作画のクオリティ上がり労働環境悪化
2000年代初めに登場した韓国ウェブトゥーンは、目覚しい成長ぶりを見せている。
カカオエンターテインメントは北米市場のウェブトゥーンプラットフォーム「tapas」とウェブ小説プラットフォーム「Radish」を、ネイバーはウェブ小説サイト運営「ワットパッド(Wattpad)」などをそれぞれ買収し、舞台を海外に広げている。
作家に休みを与えない代表的要因が殺人的な「カット数」。これは漫画の中の絵を数える単位だ。
ウェブトゥーン作家でありYouTuberである「マガムインセン」は、自身の映像で「1回当たり連載カット数を60カット以上にしてほしいと契約書に明示されている。多く描く人は1回当たり100カットを越え、120カット程度になる場合もある」と明らかにしている。
A氏はカットごとに求められる作画のクオリティも平均的に上がり、労働環境が悪化しているという。
「少し分量が減っても非難のコメントが殺到する。なのにプラットフォームは何の措置も取ってくれない。作家はその間で、四面楚歌になる」
A氏はこう不満を募らせている。
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