2024 年 7月 27日 (土)
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MZ世代から70~80代までスタートアップをサポート

「ニューズ」の行事の様子(ソウル市提供)©news1

テレビ番組「知っておいても役に立たない神秘的な雑学辞典」の脳科学者チャン・ドンソン、未来学者チョン・ジフン……。各分野を代表する専門家たちを「ショートフォーム」(核心部分だけを簡潔に伝える)知識クリエイターとして養成したのが、テクノロジーを紹介するメディア「ニューズ」。今も250人を養成中だ。ニューズが運営する知識クリエイタープラットフォーム「Majors Network」はアクセス総数5億3000万回、フォロワー総数520万人に達する。

◇世代別の創業ストーリー

ソウル創業ハブ「倉洞」には幅広い世代の起業家が集まり、夢をかなえている。

「ニューズ」のキム・ガヒョン代表は1990年代生まれ。IT記者をしていたころ、ブロックチェーンや人工知能(AI)、仮想現実(VR)といった「第4次産業革命」技術に、あまり関心が払われていないことに気づき、悩んだ末、記者をやめてスタートアップに身を投じた。「どうやればこうした技術を多くの人に知ってもらえるのか考えに考えました。そしてMZ世代が集うTikTokに挑戦してみようと思いました」

TikTokを始めてわずか3週間で週間ランキングTOP5に入った。「MZ世代にも情報に対するニーズがあるということをこの時、初めて知りました」。キム代表は当時を振り返った。

自分よりはるかに多いフォロワーをもつクリエイターたちと同じラインナップに並んだ。果たして自分は、何百万人ものクリエイターたちに勝つことができるのか……。だが実際の行動に移す「ニューズ」のフォロワーを見て、単に表面的な数字よりも、彼らの“忠誠心”がずっと重要だ、ということに気づいた。

ソウル創業ハブ「倉洞」の別の入居企業「10人(ヨルサラム)」は、猫の肥満の予測・予防・解決を手掛ける。2匹の野良猫を助けるなかでスタートアップに挑戦することになった。

「ヨルサラム」のホン・サンミン代表は「7080世代」(70~80代)。「助けた猫が、食欲を抑えられず、肥満体になりました。これが病気につながり、高いお金を支払って動物病院に連れていかなければなりませんでした。世界中の6割のペットが肥満に苦しんでいるという事実を知り、直ちに事業を始めることにしました」

「ヨルサラム」は猫の延命に必要な肥満予測技術を習得している。また、世界で唯一の肥満推定システムも開発し、リアルタイムで肥満を予測・管理している。同社は現在、大手3社と契約を結び、今年の米国進出に向け、スタートアップ支援プログラム「アマゾンローンチパッド」にも選ばれた。

◇ニューメディアマーケティングに特化

ソウル創業ハブ「倉洞」は面積延べ8305平方メートル、地上4階・地下1階で、昨年5月にオープンした。ニューメディアマーケティングに特化した専門施設で、マーケティングに向けたコンテンツ制作からリアルタイムのライブコマースまで可能な専門スペースだ。

入居企業の専門スペース(20室)やビジネス・コラボスペース(50席)、さらにはライブスタジオ10室をはじめとするニューメディアスタジオが設置されている。

「倉洞」は民間プラットフォームと連携し、マーケットの拡大や海外進出など、スタートアップのスケールアップを支援する。安い価格でオフィススペースを提供し、ニューメディアマーケティングに特化したスタジオ施設を使用する権限も提供する。

入居企業に対して投資、採用、広告・マーケティング、教育分野などの外部連携プログラムはもちろん、貿易、法律、会計などの専門メンタリングサービスを支援し、企業別の需要に合わせた職務強化クラスも無料で提供する。

ソウル創業ハブ「倉洞」内部の様子(ソウル市提供)©news1

「倉洞」は昨年12月、232の優秀企業を発掘して支援し、186人の新規雇用を創出した。支援企業の総売上高は124億ウォンに達する。投資誘致における実績は283億ウォンで、これらが保有する知的財産権は65件に及ぶ。

ソウル市が設立し、ソウル産業振興院が運営するソウル創業ハブは、ソウル市のスタートアップ施設と政策執行の中心的役割を果たしている。有能な民間専門家やスタートアップ人材、優秀企業を発掘・育成して、スタートアップのグローバル進出を支援する。

ハブは韓国内に倉洞や孔徳、聖水、馬谷(M+)の4カ所、海外にベトナム・ホーチミンの1カ所がある。

最初にオープンしたハブ「孔徳」は、2017~21年、計3853億3900万ウォンの投資誘致の成果をあげた。企業の売上額だけでも4743億76000万ウォンに上る。ハブ「聖水」は、都市問題解決のためスタートアップへの支援に特化して運営している。2018~21年、計78の企業が入居し、売上高631億5000万ウォンを記録した。新規雇用556人、投資誘致236億ウォンという成果も残している。

最近は、大手企業が密集している「馬谷産業団地」にハブ「M+」を開館。スタートアップと中・大企業間の活発な協業を推進し、情報通信産業(IT)、バイオ産業(BT)、グリーン産業(GT)、ナノ産業(NT)分野における有望なスタートアップ企業を重点的に育成する計画だ。

ソウル創業ハブ「M+」全景(ソウル市提供)©news1

このほかにも、ソウル市はグローバル技術競争力を備えた先端技術のスタートアップを育成するために、オーダーメイド型「ビジネス化への連携技術開発」を支援し、ソウル創業成長センターなども運営する。同センターは優れた技術力を持つ創業7年未満の企業を対象に、先端技術のビジネス化、研究開発、グローバルマーケティングなどを支援する。

ソウル市のパク・テウ経済雇用企画官は「スタートアップは新型コロナウイルス流行の中でも、革新的なアイデア・製品開発を通して雇用を生み出し、経済をけん引しています。ソウル創業生態系の成長のためにも、有望なスタートアップの製品化・ビジネス化、グローバル市場への進出、投資の誘致など、支援を惜しみません」と話している。

©news1

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