瞬く間にフォロワー数が激増
平均15秒から最大10分を超えない「ショートフォーム」(短い動画)コンテンツが、韓国のMZ世代の間で新たなトレンドとして浮上しています。なぜ彼らは「ショートコンテンツ」に向かうのか。その実情を探りました。(シリーズ1/4)
◇長い動画に集中できず
「カンカン(仮名)」さんはこれまで、アイドル歌手の「カバーダンス」を視聴して楽しんでいた。ところが、Instagramの短尺動画機能「リール(Reels)」を使って発信を始めたところ、瞬く間にフォロワー数が13万人を超え、人気「インフルエンサー」になった。
音楽放送に匹敵するカメラワークと、アイドルに劣らない表情でネットユーザーに実力を認められた。そのアイドル歌手が直接、自分の家に来て、一緒にダンス動画を撮影するほどだ。芸能人の耳目までとらえたのだ。
有名ビューティーYouTuberを夢見てメイクアップ動画をアップしている高校生のイムさん(18)。視聴者がなかなか増えず、悩んでいる。そこで最近、YouTubeの「ショーツ(Shorts)」にメイクアップ過程を短くまとめ、果敢にアップを始めた。すると、YouTubeではなかなか増えなかった再生数が、一気に増えた。イムさんは「メイクアップ前後の変化を15秒程度で見せたことにいい反応があった」と振り返る。
長い動画には集中できなくなった会社員のキムさん(26)は最近、「ショーツ」を見るのが楽しみだ。通勤途中の公共交通機関で、ウェブドラマを30秒~1分に圧縮した動画や芸能写真をよく見る。お気に入りは、最近人気の『アダルト』『ショートボックス』など、短いけれどインパクトのあるコンテンツだったり、15~20分のドラマの要約版だったりする。
◇「直観の魅力」
ショートフォームコンテンツの始まりは、中国の北京字節跳動科技(ByteDance=バイトダンス)が運営する「TikTok」だ。TikTokは2016年、世界150カ国・地域の75カ国語でショートフォームサービスを開始。世界的人気を集め、ショートフォームの代名詞に浮上した。
続いてYouTubeとMeta(Meta)=旧Facebook=など大型SNSプラットフォームもショートフォーム動画コンテンツ戦争に参戦した。YouTubeは「ショーツ」を、Instagramは「リール」をサービスしている。
こうしたショートフォームの人気は、新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけにした非対面消費文化の広がりと軌を一にしている。
動画があふれかえるようになり、長いコンテンツが退屈に感じられるようになった。おのずと、“本論”だけを盛り込むショートフォームに人気が集まるようになった、という分析が出ている。
「選択」の煩わしさがないという点も重要な要素だ。
ほとんどのショートフォームプラットフォームは、視聴中の動画が終われば、次の動画が自動再生される。そのため、動画を軽くスライドすることで、気軽に消費できる。YouTubeのように、スタート時や途中で広告が再生されるというわずらわしさもない。
加えて、芸能人やインフルエンサーでなくても、能動的な「クリエイター」として参加するのに壁が高くない、という点もショートフォームが急速に成長した背景だ。
YouTuberに挑戦しようと高いカメラを買う必要はない。「スマートフォン」一つあれば、ショートフォームを作ることができる。動画の長さが短いので、面倒な編集作業も必要としない。
ショートフォームは遊び手段でもある。友人と「退屈だから、リールチャレンジを撮ろう」という話になれば、すぐに撮影に入ることができる。実際、Instagramのリールには、制服を着た生徒がアップしたダンスカバー動画が頻繁にアップされている。
今やインフルエンサーやクリエイターは、長い広告動画を載せる代わりに、ショートフォームを通じて、短く、強力にメッセージを伝えることに集中している。
(つづく)
©NEWSIS