ひとつの「世界音楽的母語」
K-POPがグローバル化するなか、英語なのか韓国語なのかわからない歌詞が増えました。ネイティブでさえ理解できない韓国語の歌詞が多くなったといいます。K-POPから「韓国語」の変化を探ってみました。(シリーズ2/5)
◇「文化言語共同体」
海外ファンは今、積極的に韓国語を勉強する。韓国人が1970~80年代に「グッドモーニングポップス」を聴きながら英語を勉強し、1980~90年代の日本アニメーション・ドラマ・J-POPを聴きながら日本語の勉強をしたように、現在はグローバルファンがK-POPを聴きながら韓国語を勉強している。
特に、K-POPの知名度が世界的に高まり、それにしたがって韓国文化に対する関心も強まっている。エゴマの葉論争の広がりを受けて「エゴマの葉キムチを初めて食べてみた」という海外ファンが少なくない。
韓国語と韓国文化を積極的に消費して広める海外のK-POPファンのことを、アーミーたちは「サランドゥンイ(愛しい子)」と「ヘウェ(海外)」をかけ合わせて「ウェランドゥンイ(海外の愛しい子)」と呼ぶ。「ウェランドゥンイ」もまたアーミーと合流し、韓国文化全般に対する興味を抱くようになる。
癒しと希望を与えるBTSの歌を求心力にアーミーたちが「文化言語共同体」を形成する。その中心にK-POPを構成する韓国語が位置する。つまりK-POPが一種の「世界音楽的母語」になっているというわけだ。
こうした背景が、BTSの「Dynamite」のような英語曲だけでなく、韓国語曲「Life Goes On」までも、米ビルボードのメインシングルチャート「ホット100」1位に押し上げる原動力になった。
◇かつては「韓国語? 語感が硬い」
BTSのメンバーは国連総会の会場で演説をする時にも韓国語を使用した。
これまで韓国語には、「語感が硬い」という理由から、世界の人々が一緒にうたう歌の詞には適さない、という一部の評価もあった。しかし、K-POPの世界的人気に伴って韓国語の地位も引き上げられ、こうした評価も変わっていった。
米国の権威ある音楽雑誌「ローリングストーン」は、韓国語の歌詞について「歌詞を調べる前にはむしろより神秘的に感じられた。BTSが伝えるメッセージは本当に美しい」というファンへのインタビューを掲載したこともあった。
かつて、K-POPはマニアックな文化だった。しかし今は、海外の若い世代にとって、クールで若い感受性を代弁する「ヒップな文化」に位置づけられている。
最近、米ラスベガスのアレジアント・スタジアム(Allegiant Stadium)で開催されたBTSのコンサートで見られたような「韓国語合唱」は、もはや珍しい風景ではない。
海外進出を狙った新人アーティストを育成中の中堅企画会社の関係者は、こんな見方を披露した。
「以前は、海外ファンと簡単にコミュニケーションを取るために、歌詞に英語を潜り込ませた。でも今は、海外ファンも積極的に受け入れてくれるので、韓国語の難しい表現も加減せずに入れている。こうした流れはしばらく続くだろう」
(つづく)
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