2024 年 12月 22日 (日)
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[KWレポート] BTS兵役論議とK-カルチャー経済学 (1)

「彼らより成功しなければ軍免除なし…」

バイデン米大統領と韓国式指ハートをして記念撮影に臨むBTSメンバー(ホワイトハウス提供)(c)NEWSIS

韓国でK-POPグループ「BTS(防弾少年団)」の最年長メンバーの入隊が決定したことにより、大衆芸術で功績があった者の兵役特例問題が転換点を迎えた。BTSが米ビルボードで1位を獲得し、米動画配信大手ネットフリックス(Netflix)ドラマ「イカゲーム」がエミー賞を受賞するなどK-カルチャーが世界市場を席巻するなか、K-カルチャー全盛時代をより確かなものにするために、大衆芸術に功績のあった者の兵役特例を認めるべきだという声が強まっている。ただ、公正性の問題や兵力の減少など解決すべき課題も少なくない。

◇BTS軍隊、でも論争絶えず

BTSの所属事務所が、最年長のJINから始まるメンバーの軍入隊を明らかにしたことで、長期にわたったBTSへの兵役特例の議論はいったん終わった。しかし、代替服務(事実上の徴兵免除)など兵役特例制度をこの機会に改善すべきだという声は下火にはなっていない。加えて、大衆芸術には適用されない現在の兵役特例を「差別的なものだ」と批判する意見も根強い。

2018年に韓国の歌手として初めてBTSは米ビルボードで1位を獲得したことで、兵役特例を付与すべきだという声が上がり始めた。世界的な人気で韓国のブランドイメージを高めたうえ、経済的な貢献度も大きい。そんなBTSの持続的な活動を保障するため、兵役特例が必要だという理由だ。

それから4年余りたち、BTSの人気と影響力はさらに強くなった。

メンバーの軍入隊は決まったが、兵役特例の論争は今も終わっていない。「大衆芸術家の兵役特例を認めるべきか」という議論が巻き起こったのをきっかけに、大衆文化をリードするK-POP歌手らの社会的地位を高めるべきだという声が強まった。さらに、クラシックや国楽など、いわゆる「純粋芸術」に対してのみ兵役特例を規定した現行法令を「時代錯誤的だ」とする批判も出ている。

世界のポピュラーミュージック界で最も権威がある米ビルボードで1位となったBTSが兵役特例を認められない一方、一般にはあまりなじみのない純粋芸術の国際大会で優勝した者には認められるという現実に「不公平だ」と指摘する声が強まっている。

ショパンのスケルツォ第2番を演奏するピアニストのチョ・ソンジン(c)news1

◇朴正熙時代の制度

芸術・スポーツ人に対する兵役特例は、1973年に制定された。

1971年にバイオリニストのカン・ドンソク氏が米サンフランシスコ・コンクールで優勝したものの、兵役を理由に帰国せず、10年間、海外を転々としたことがあった。当時、パク・チョンヒ(朴正熙)大統領は「韓国の文化資源が奪われないように」という趣旨で、芸術要員の兵役特例の新設を指示した。

同時にスポーツ選手についても、五輪などでのモチベーションを高めるために兵役免除を含めた特例を作った。BTSの兵役問題について、ユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領と国会などが政治決断すべきだ――という共通認識が形成される理由だ。

前兵務庁長のモ・ジョンファ氏は今年5月、野党「共に民主党」のアン・キュベク議員主催の討論会で「減少する国防人材という観点から、特例制度の廃止・縮小を含め、その存続の是非まで全般的に検討する必要がある」と主張した。同時に「芸術家、スポーツ選手に対する特例が存続する場合、純粋芸術分野の基準を再検討し、大衆芸術に対する基準を新たに設けるのは『政策的決断』事項だ」という点を明確にした。

芸術体育の特例に該当する人員が、年平均40~50人に過ぎないという点も、大衆芸術家に対する特例の新設が、政策的に無理がないということの根拠になる。兵役要員が減っている現実を考慮したとしても、大衆芸術により国威を宣揚した人材に対し、一定の基準を作って特例を適用する余地があるということだ。

韓国文化観光研究院研究委員のチェ・ジヨン氏は「ピアニストのチョ・ソンジンとBTSの活躍は比較できない」という前提ながら「ジャンルだけで優越意識を持つのは、昔の考え方だ。大衆芸術家についても、純粋芸術家やスポーツ選手に対する特例を、同等な論理と基準で適用するのが公平性の回復につながる」と強調した。

(つづく)

(c)MONEYTODAY

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