
◇アマゾンの失敗に学ぶ、AI採用の落とし穴とその後の進化
アマゾンは2018年にAI採用システムを導入し、わずか4年でこれを廃棄した。
履歴書に「女性」という単語が含まれていると減点される。「実行した(executed)」のような男性開発者がよく使う動詞が含まれると優遇される。こんな性差別的な結果が明らかになったからだ。
AIは過去10年間に提出された履歴書に頻出する約5万語を学習していた。だが、それが男性中心のIT業界の偏った特性をそのまま反映した形となった。AIによる採用が偏向を露呈し、人材選抜に失敗した代表的なケースだ。
だが最近では、AIがむしろ採用の成果を高めるという研究結果が相次いでいる。
PSGグローバルソリューションズとシカゴ大学経営大学院が7万人の応募者を対象にAI面接と人間の面接を無作為に実施したところ、AI面接官が高く評価した求職者の最終合格率は、人間の面接に比べて18%高く、1カ月以上の勤務持続率も17%高かった。性差別を経験した割合も、AI面接では3.3%にとどまり、人間面接(5.98%)の半分程度だった。さらに研究チームは「AI面接は人間の面接よりも、採用に関連する情報をより多く引き出した」と評価している。
◇「多様性向上」へ導く新たなアプローチ
ゲームを活用した採用ソリューションを開発した「パイメトリクス(Pymetrics)」によると、従来の履歴書中心の審査方式では女性の50〜67%が不利を被っているが、AI採用を導入すると多様性が20〜100%向上するという。これについて、オクラホマ州立大学のハウザー教授は「AIは人間の意思決定過程に内在する偏見を緩和し、多様性と採用成功率を高める」と分析している。
専門家は、AIの偏向を抑えるためには、リスクを事前に検証する「レッドチーム」を運営し、継続的にモニタリングすることが重要だと指摘する。実際、アメリカでは2024年10月時点で、フォーチュン500企業の93%がAI採用を導入するほど、AI採用が主流となっている。
また、AI採用の公正性・透明性・責任性を高めるための法整備の必要性も提起されている。米イリノイ州では、求職者にAIの動作方式を説明し、映像の共有・破棄などを規定した「AI映像面接法」を制定しており、ニューヨーク市でもAI採用ツールを使用する場合に偏向の事前監査を義務付ける条例が整備されている。
国会図書館のチェ・チャンス法制資料調査官は「韓国でも大企業や公企業によるAI採用技術の活用が広がっているが、公正性や透明性を確保するための法律や規定は存在しない。AI採用の評価方法やアルゴリズムの動作方式を求職者に事前に説明し、偏向防止のために外部監査を義務付ける規定が必要だ」と提言した。
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