非対面というトレンドの定着
韓国で大手企業の上半期の募集が始まり、就活生の苦悩が深まっています。採用試験に「非対面面接」「人工知能(AI)面接」が取り入れられ、志願者の心理的負担が増しているようです。最前線を取材しました。(シリーズ2/3)
非対面面接というトレンドが定着して就職活動生が困惑する一方、企業側はこの流れに肯定的な反応だ。
採用選考の機械化により、採用試験の負担が減る。人事業務の効率性が高まる。試験会場、面接会場が不要になる。特にAI面接の場合、同一の基準で志願者を評価するため、むしろ公正性も担保できる……。
求人求職マッチングプラットフォーム「サラミン(saramin)」が今月、韓国国内の560社を対象にアンケートの結果、回答企業の58.8%が採用にAIが役に立つと答えた。
「時間や労働力投入の減少」(54.4%、複数回答)▽「採用過程の公正性・透明性の確保」(46.5%)▽「ダメ元で受ける志願者などを早くに除外できる」(31%)――など。
詳細をみてみる。
手間暇でみれば、非対面テレビ面接は効率的で、同じ時間に複数の面接ができる。「一度の100件というのも可能だ」(ある大手企業の関係者)という状況にもある。「既に働いているような志願者の場合、大部分が仕事の合間に面接を受ける。AI面接なら、時間を少し作って面接を受けることができる。志願者も会社もウィン・ウィンではないか」(同関係者)のようだ。
公正性・透明性でみれば、「(AIは)決められたアルゴリズムに従って評価するため、より客観性が確保できる」(大企業関係者)。AIなら、同一の基準で志願者を評価することになり、それを数値で表すことができると考えられている。
志願者の絞り込みについては、AIならば、手間暇かけず、基準に満たない者を振るい落とすことができる。
面接できる人数は限られている。企業が望む人材を的確に見つけたいという採用側の観点からみれば、AI面接は効果的だ。昨年下半期の採用でAI面接を導入したある大企業関係者は、AI面接を「非対面採用の手続きを進めていたら、おのずと導入されることになった」と打ち明けた。
AI面接の導入から3年を迎えたある大企業の関係者は――。
「紙をボールペンを使って実施していた適性検査より、AI面接のほうが、ずっと緻密な選考ができる。細部にわたって点数・数値が出る。おそらくAI面接を導入した大部分の企業が同じように感じているだろう」
(つづく)