2024 年 12月 23日 (月)
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[KWレポート] 20代論客が語る2022大韓民国 (1)

アイドル界から3年後の政界を予測

サバイバル番組「クインダム2」©MONEYTODAY

韓国で、1990年代生まれの若者を明快に分析した「Kを考える」の著者で作家のイム・ミョンムク氏(28)が注目されています。「20代の論客」として注目を集めるイム氏がMONEYTODAYとのインタビューで語った話をまとめました。(シリーズ1/5)

◇IZ*ONE問題

「政治的な現象は表面に現れたものに過ぎない」。政治現象の分析は本質的なことではないという。ならば、本当に重要なことはなにか――。その答えが、K-POPの女王の座を争うサバイバル番組「クインダム2」で誰が優勝するか――なのだそうだ。

キム氏の発言の意図を理解ができない瞬間だった。

イム氏は休まず話を続けた。

「政治というものは、実は、非常に副次的な問題だ。つまり、政治はエンタテインメント界、アイドル界で起きた出来事に追随しているだけ。アイドル界をのぞいてみれば、3年後の政界を予測できると思う」

言い換えれば、若年層が主導するK-POP文化を注視していれば、今後現れる政治・社会現象をあらかじめ知ることができる、というのだ。

イム氏は、昨年急浮上した「イデナム現象」(反フェミニズムの傾向を示す20代男性を指す韓国の用語)の場合、2019年の段階で既に本格化していた「IZ*ONE(アイズワン)問題」の際、既に予見されたものだ、という。

いったい、どういうことなのだろうか。

IZ*ONE©news1

「PRODUCE」というサバイバルオーディション番組で、日韓合同ガールズグループ「IZ*ONE」が、男性ファンの主導で作り上げられた。だが女性ファンが「サバイバルで投票が操作された」という事実を明らかにすると、男性ファンがうっ憤を爆発させ始めた。

男性ファンは「IZ*ONE」のアルバムを爆発的に購入した。再結成のために32億ウォンに達するクラウドファンディングを成功させたりした。若い男性が、自分たちの「集団的エネルギー」と「購買力」を悟るようになった一大事件だったのだ。

このような経験が「イデナム」の「政治における集団的投票」につながった――というのがイム氏の分析だ。

尖鋭的なジェンダーの摩擦などの社会問題の根っこに「アイドルファン文化」が存在していると、イム氏は見る。特に、1990年代生まれは、ほとんどこうした問題を避けられないでいる。30~40代にもなじみのあるあるファン文化が、社会的に拡大され、摩擦が生じているという指摘だ。

イム・ミョンムク氏の「Kを考える」©MONEYTODAY

◇アイデンティティと文化をめぐる闘争

イム氏は、ものすごい能弁家だ。

――アイドル界が政治・社会現象の先行指標になり得る理由は何か。

イム氏 ファンは、メディアに高度に没頭した環境で集団行動したり、世論集めをしたりする「訓練された人たち」だ。このような人々が事実上、現在の韓国社会の主流を、世論をリードしているのだ。そこで作られた問題意識と摩擦の構図というものが、社会的領域を拡大し続けながら再生産されている。

――そのようなファン文化が政治の世界にまで及ぶことには、明らかに悪い影響もあるようだ。

イム氏 人々が自分の人生における意味を、自身の周辺で見つけられなくなった。だから、メディアと政治に感情移入するのだ。もはや政治も事実上、メディアに従属している。メディアにとっても分かれ目となった。「政治からファンが出た」のではなく、「ファン行動をする人々が政治に担った」のだ。

過去の事例を見てもH.O.T(エイチオーティー/韓国の男性5人組アイドルグループ)のファンがいなかったら、ノ・ムヒョン(盧武鉉)氏(元大統領、故人)を愛する人々の会「ノサモ」は出てこなかっただろう。

イ・ミョンバク(李明博)政権当時、社会問題などを取り上げて風刺し、大人気を博したインターネット番組「ナコムス(ナヌン コムスダ=私はみみっちいやつだの意味)」がなかったら、ムン・ジェイン(文在寅)氏(前大統領)の派閥を指す「ムンパ」などが出てくるようなことはない。

――「ファン」文化が率いる韓国社会の未来はどうだろうか。

イム氏 もちろん当分の間、韓国はコンテンツ覇権をさらに強化すると思う。しかし、同時に政治的、社会的には危機が生み出される可能性もある。

――ジェンダー摩擦のほかに、また別の問題が出ることになるだろうか。

イム氏 そうだろう。そのような闘争が今後も続きそうだ。アイデンティティと文化をめぐる闘争だ。韓国のジェンダー摩擦。これは、人類史上初の事態と見る。「暴力」の強度は昔の方が強かっただろうが、こんな「社会的摩擦」はなかったと思う。

(つづく)

©MONEYTODAY

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