2024 年 11月 25日 (月)
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[KWレポート] 韓流俳優、ハリウッドへの階段(3)

コリアン・インベージョン

マ・ドンソク©news1

この20年間、日本や中国などアジア圏を中心に輸出されてきた「韓流文化」が“最後の未開拓地”といわれた米ハリウッドで脚光を浴びています。韓流俳優たちのハリウッドへの道のりと今後の課題を探ってみました。(最終回)

◇“国内需要”俳優にもチャンス

映画『パラサイト』が第72回カンヌ国際映画祭パルムドール、第92回アカデミー賞授賞式作品賞、監督賞、国際長編映画賞、脚本賞の4冠に輝き、韓国コンテンツに対する注目度が一層高まった。当時、ポン・ジュノ監督を応援する情熱的なファンだという意味の新造語「ポン・ハイブ」も作られた。

特にOTTの拡張は、その後の韓流に大きな影響を与えた。代表的なOTT企業の米動画配信大手ネットフリックス(Netflix)は、グローバル市場を狙うため、ハリウッドの制作方式を超越して、各地域に適したコンテンツ作りに集中し始めている。アジア系を主人公に仕立て、アジア系・アジア人のクリエーターに投資した。実際、2019年の『キングダム』シリーズを起点に韓国コンテンツに積極的に投資してきた。

そして昨年9月、オリジナルシリーズ『イカゲーム』を公開して世界的ブームを巻き起こした。出演したイ・ジョンジェ、パク・ヘス、ウィ・ハジュン、チョン・ホヨンらはわずか数日で世界的なスターに浮上した。

4人は昨年10月、米NBCの有名トーク番組『ザ・トゥナイト・ショー』のスターリング・ジミー・ファロン・ショーにオンラインで出演。11月にはイ・ジョンジェ、パク・ヘス、チョン・ホヨンがファン・ドンヒョク監督とロサンゼルスで開かれたプロモーションイベントに参加し、現地での人気を誇示した。

イ・ジョンジェは昨年11月末、ニューヨークで開かれた「ゴッサム・インディペンデント映画賞」で「最優秀演技賞」に当たる「アウトスタンディング・パフォーマンス・イン・ア・ニュー・シリーズ(Outstanding Performance in a New Series、新作シリーズ演技賞)」部門にノミネートされた。また、チョン・ホヨンのInstagramのフォロワー数は約2400万人に達する。これはモデル出身の韓国女優で最多だ。

米外交誌フォーリン・アフェアーズは昨年10月の記事で『イカゲーム』をはじめとする韓国のコンテンツが、米国で人気を得ている現象を取り上げ、「コリアン・インベージョン(Korean Invasion)」という表現を使った。これは1960年代、ビートルズを前面に出した英国のロックと大衆音楽が米国で人気を得た現象を指す「ブリティッシュ・インベージョン(British Invasion)」を応用した表現だ。

韓国コンテンツが世界的な評価を受けている現状は、韓国俳優にとって、世界市場に目を向ける好機といえる。たとえ海外進出に関心がなかったいわゆる“国内需要”俳優でも、OTTプラットフォームを通じて190カ国に出演作がストリーミングされれば、おのずと海外市場に進出することになる。遠い異国の地でも、自分を応援するファンダムを形成することができるというわけだ。

◇新韓流スターの課題

韓国で活動している韓国系米国人俳優、マ・ドンソク。昨年11月に公開されたマーベル新作『エターナルズ』でギルガメッシュ役を演じた。

人気映画シリーズ「マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)」に合流した彼は「地道に、黙々と、与えられた作品を誠実にこなし、得意のアクションを続けていたら、幸運にも大きな作品に呼んでもらえた」と、ハリウッド進出にも、あくまで謙虚な態度を見せた。

マ・ドンソクは2016年、映画『新感染 ファイナルエクスプレス』で強力なパンチでゾンビを叩き伏せるキャラクターを演じ、海外市場で大きな人気を集めた。この映画で知名度が上がり、「6~7年前からずっと、作品のキャスティングが入っていた」というほどに。そしてハリウッド進出につながった。

俳優の多くが、マ・ドンソクのようにすんなりハリウッドのメジャー映画に主演級としてキャスティングされるわけではない。米国在住のマ・ドンソクは英語が堪能という、ハリウッド進出への有利な条件を整えているという理由もある。

ハリウッド進出の韓国俳優らが克服すべき課題は何か――。

イ・ビョンホン、ハン・ヒョジュ、ハン・ジミンらが所属するBHエンターテインメント海外チームのチャールズ・パク本部長は、こう言い切る。「結局、言語」

「『イカゲーム』のように、韓国語のコンテンツも名をとどろかせて海外視聴者の人気を得ることはできる。だが、ハリウッド作品への出演が目的なら結局は言語が必須だ」

実際、最近のハリウッドをはじめ海外作品に出演した韓国俳優の共通点は「自然な英語を使用できる人たち」だという点だ。

言葉が課題ならば、韓国俳優たちの強みは何か――。

パク本部長は「どんなジャンルの演技も消化できる」という点に注目する。

「韓国では一つのジャンルの演技だけではなく、ホラーもコメディーもアクションもできる。米欧の俳優はアクションならアクション、コメディならコメディと、ジャンルを絞り込むことが多い。『G.I.ジョー バック2』の時、イ・ビョンホンの演技を見て、監督とPD、スタッフらみなが『こんなに演技が上手だとは思わなかった』と言っていて、私たちも驚いた」

パク本部長は、韓国俳優のハリウッド進出を大きな流れにしていくため、業界に関わる韓国人が一体となって相互作用を働かせることの重要性を説く。在米韓国人の映画スタッフやエージェンシー、マネジメントらによる情報共有の場を、韓国俳優が仕事を融通し合う仕組みとして役立てるよう提案する。

(おわり)

「韓流俳優、ハリウッドへの階段」はnews1のチョン・ユジン、コ・スンアの両記者が取材しました。

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