
韓国経済に外国人労働者はもう欠くことのできない存在となった。雇用全体に占める割合も日ごとに増加している。中小企業と農漁村では既に主要な人材として活用されており、代替不可能な労働力となっている。外国人労働者の増加と相まって最低賃金からの適用除外や人権じゅうりんなどの問題も浮上する。外国人労働者時代を探った。
◇「裏切られた」
京畿道始華産業団地にある金属加工会社。ここの代表は最近、外国人労働者から裏切られたと感じた。
代表は韓国語講師を毎日呼んで1時間ずつ外国人労働者が韓国語を習得できるようにしていた。勉強する1時間も勤務時間とした。
しかし、彼らの数人が半年後、転職した。「外国人労働者の適応を支援するという気持ちが消えうせた」。代表はこう振り返った。
衛生用原紙製造業を営む別の代表は、外国人労働者の「管理」が最大の悩みの種だ。
今年から外国人労働者雇用保険への加入が義務化された一方、失業手当ての受給制度を悪用するケースが目立つようになったからだ。
入社6カ月が過ぎた外国人労働者は勤務怠慢、仮病などで雇い主を圧迫するという。失業手当を受給するための「解雇誘導戦術」というわけだ。
◇制度を巧妙に“悪用”
外国人労働者は韓国社会の必要不可欠な人材資源だ。安い労働力、積極的な求職などの側面から見ると、中小企業には魅力的な人材だ。
少子高齢化で生産人口が減少し、慢性的な人手不足に陥っている中小企業の立場では、外国人材なしで企業を運営することは不可能だ。
法務省出入国統計現況によると、韓国に在留する外国人は2022年に224万5912人で、うち就業資格を有する外国人は44万9402人だった。これは前年比16.3%増だ。
韓国人だけで賄いきれない労働市場に外国人が、代替人材として位置づけられている格好だ。将来、生産可能人口の減少が目に見えているだけに、外国人材の需要はさらに高まらざるを得ない。
だが、外国人労働者が韓国社会に肯定的な影響だけを与えるわけではない。
人材難にあえぐ中小企業には恵みの雨のような存在だが、どこに行ってしまうかわからない人々の行動で、戸惑うことも多いのも事実だ。
ある女性企業家はこんな話をした。
「外国人労働者のコミュニティも発達し、頻繁に情報交換して制度を巧妙に悪用する事例が目立っている。そうでなくても毎年最低賃金が上昇し、人を探すことも難しくなり、生き残るのも難しい状況なのに……。中小企業にとって外国人労働者は本当に必要な労働力だ。企業が安定的に外国人労働者を雇用し、業務を持続できるよう政府次元で制度的な支援をしてほしい」
(つづく)
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