2024 年 12月 21日 (土)
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[KWレポート] 韓国南部、最悪の干ばつ (中)

「廃鉱地下水」まで供給、水不足で毎日「地獄」

蘆花島のある美容室が営業をあきらめ、大きな水タンクを店の前に置いている(c)news1

「どんなにひどいかって、廃鉱の地下水やら農業用水まで、飲み水として使っているんですよ」。50年ぶりの深刻な日照りに見舞われている韓国全羅南道(チョルラナムド)莞島(ワンド)郡の住民たちは、毎日が地獄だ。いつ雨が降るのか……。空だけを眺めながら、1日1日、水が心配で、何も手につかない。

莞島郡所安面(ソアンミョン)のキム・ヒョンシクさん(62)は、水槽を眺めながらため息をついた。水タンクの水の高さが低くなるたび、憂いも深まっていく。

所安島は1~2日の給水、5日の断水に入った地域だ。莞島郡が指定する「グルメ店」と紹介されたキムさんの食堂は、水の状態によってその日に営業するかどうか決めている。

「2日間に給水された水を、辛うじて5日間使っている。入浴して洗濯する水も足りない。こんな状況で、食堂がまともに営業できるはずがない。いまは、蘆花島(ノファド)の廃鉱の水まで給水され、使われている。そら、心配ですよ。でも、他に方法がない」

キムさんはこう嘆いた。

◇火薬などの不純物への懸念

所安島の水がめであるミラジェ貯水池は19日、7%の貯水率を示した。だが21日には6.2%まで下がった。近隣の蘆花島からミラジェ貯水池まで連日、地下水240トンを引いて満たしているが、水は日々減っている。

そしてついに莞島郡は、1990年代半ばまでヒスイを掘っていた蘆花島の廃鉱地下水を引いて、近くの所安島など島の住民たちに供給するようになった。

廃鉱地下水は昨年まで、火薬などの不純物を憂慮した住民の反対で使われてこなかった。だが、日照りに疲れた住民は公聴会を経て、8月から水の供給を受けることにした。

幸い、水資源公社の検査結果、「飲み水として使用することには問題がない」という結論が出た。

莞島郡は給水困難の解決のため、新たに井戸を掘る作業に着手したものの、前途は多難だ。地下水が限られた島の地域で新たな井戸を掘るのは、村の別の地下水事情を悪化させることになる。

郡関係者は「莞島で2番目に人口が多い蘆花島が23日から2日間の給水、4日間の断水だ。12月には海苔の収穫が始まるが、海苔作業に使う用水も確保が難しい状況だ」と伝えた。

農業用貯水池にパイプを連結する作業をする新安(シナン)郡上下水道事業所の職員ら(新安郡提供)(c)news1

◇「地下水から塩分が出れば、使えない」

30年ぶりの激しい日照りに見舞われている新安(シナン)郡も、水不足による心配が尽きない。当面は農業用水を引いて使っているが、来年の農繁期まで日照りが続けば、農業もあきらめなければならない。

新安の今月中旬現在、今年の降水量は654ミリで平年降水量の62%に過ぎない。上水道13カ所の平均貯水率は17~30%にとどまっている。特に、住民2900人余りが住んでいる飛禽島(ピグムド)の場合、貯水率が17.2%で、最も深刻な状態だ。

新安郡は島地域の慢性的な水不足解消のため、農業用水を引き、地下水を掘って飲み水を供給し、かろうじて制限給水を免れている。地元の行政トップは次のように危機感をあらわにした。

「上水源地の水が不足しているため、農業用貯水池から5年間、水を引き、飲み水として使っている。生命が第一だ。農業に使うからといって水を取り置きすることはできない。あちこちで井戸を掘り、これまでよく出ていた地下水が少なくなって住民の不満も大きくなっている」

日照りが最も深刻な飛禽面には農業用貯水池に12キロにわたるパイプを連結し、1日600トンの水を輸送している。井戸も2カ所を新規に設置して250トンを供給するなど、さまざまな方法を動員して水不足に備えている。

郡関係者は「あちこちに井戸を掘って地下水を引き上げているが、塩分が出ればそれさえも使えなくなる。来年3月から本格的に始まる農繁期になれば農業用水をこれ以上供給できず、制限給水が避けられない」と危惧している。

(c)news1

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