底つく水源…このままでは都市部も制限給水
韓国全羅南道(チョルラナムド)を中心に南部地方は今年も激しい日照りが続いている。莞島(ワンド)・新安(シナン)などの島では毎年、制限給水が日常になり、大都市である光州(クァンジュ)市も30年ぶりに制限給水を検討中だ。日照りは農村と産業団地にも影響を及ぼし、農業用水と工業用水の確保にも異常な事態になっている。現在の給水状況、干ばつの原因、今後の対策などを全般的に探ってみた。
◇観測史上、最低の降水量
光州・全羅南道は1973年に気象観測が始まって以来、最も少ない降水量を記録し、主要な水源の貯水率は底をつきはじめている。来年1月までの降水量も平年並みか少ないと予報され、光州市は制限給水を心配している。
光州地方気象庁の最近の発表によると、今年の光州・全羅南道の降水量は805.5ミリ。平年1340ミリに比べ60.2%水準にとどまり、日照りが続いている。
最近3年間の降水量を比較しても2019年の1422.7ミリ、2020年の1635.7ミリ、2021年の1398.1ミリに比べ、まったく足りない。
1年の降水量が最も多い6~8月の夏場の降水量も、平年703.2ミリのわずかに半分を超えた412.3ミリに止まった。
特に1日給水、6日断水など制限給水を施行している莞島の場合、平年降水量は1472.9ミリなのに、今年は672.3ミリ。1973年以降で最も少ない数値になっている。
近隣の新安と珍島(チンド)なども事情は同じだ。今年の新安には705ミリ、珍島658.3ミリ、務安(ムアン)642.5ミリにとどまった。
◇ダムが枯渇の危機
こうした状況を受け、飲み水と生活用水を供給する水源に赤信号が灯った。
光州市北(ブク)区と東(トン)区に飲み水を供給する和順(ファスン)郡の同福(トンボク)ダムに最も近い観測地点である和順北(ファスンブク)の場合、昨年1~10月の降水量が1325.5ミリだったのに、今年の同期間は843ミリにとどまった。
同福ダムの貯水率は20日時点で31.45%と、昨年同期の貯水率である70.55%の半分にも達していない。今月中旬に雨が降ったものの、降水量は0.4ミリにとどまり、同福ダムの水位には変化がない状況だ。
順天(スンチョン)市の住岩(ジュアム)ダム。光州市光山(クァンサン)区や南(ナム)区、西(ソ)区に生活用水を、全羅南道の高興(コフン)や羅州(ナジュ)、木浦(モクポ)、順天(スンチョン)、霊光(ヨングァン)など10市・郡に水を、それぞれ供給する。
この住岩ダムも20日に1ミリ以下の雨が降っただけ。雨水による効果は不十分だった。
例年は52.89%の貯水率を見せていた注岩ダムは、20日の段階で貯水率が31.39%に落ちた。注岩ダムの場合、日照り対応「深刻」段階が発令されている。
こうした深刻な日照りで同福ダムと住岩ダムは底が見えはじめ、同福ダムは来年3月には枯渇する危機に直面している。
◇「桶を使った皿洗い」「シャワー時間を減らす」
全羅南道の広域水源も貯水率が半分に落ちた。長興(チャンフン)ダムは昨年56.1%の貯水率を見せたが、今月18日時点で39.2%、坪林(ピョンニム)ダムは63.1%から33.1%に減少した。平林ダムにも8月末、日照り対応で「深刻」段階が発令された。このほか、地方の水源60カ所の平均貯水率は50%に及ばない49.8%だった。
広域の水源は来年5~6月まで正常供給が予想されるが、地方の水源は現在、用水供給に支障をきたすと恐れが出てきた。
韓国気象庁は、深刻な日照りの原因を「夏場の降水量が不足した結果」と分析している。夏場に影響を与える北太平洋高気圧が平年より北西に拡張し、低気圧と停滞前線が主に中部地方に影響を及ぼした。光州・全羅南道地域は相対的に北太平洋高気圧の影響圏に入り、雨が少なく日照りをもたらしたという。
今年9月の台風11号の影響で多くの雨が降ったが、9月下旬には高気圧の影響で降水量が非常に少なくなり、10月の降水量も平年には及ばず、日照りが悪化したとも解説している。また、光州・全羅南道は1月から弱い日照りが始まり、春から範囲が拡大し、現在まで光州・全羅南道地域の日照り発生日数は245日で1974年以来最も多い状況だ。
来年1月までに光州・全羅南道の気象状況は現在とあまり変わらないという予測も出ている。こうした日照りが続くものと予想され、全羅南道地域をはじめ、光州でも制限給水と断水状況につながりかねないという懸念が現実となりつつある。
光州市関係者は次のように訴える。
「現状は市民が考えるよりはるかに深刻だ。早い段階で20%以上の節水効果が得られなければ、年明けには制限給水が避けられない。水道計量器バルブ調節を通じた水圧低減、桶を使った皿洗い、シャワー時間を減らすなど、日常で実践できる節水に積極的に参加してほしい」
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