カナダで移民コンサルティング会社を運営しているジャスティン・シム氏はMONEYTODAYとの書面インタビューで、カナダ政府の体系的な移民システムをモザイク文化の重要なポイントに挙げた。
「カナダは少子高齢化時代に入り、1人当り出生率が1.47程度。韓国(0.71)の2倍程度だ。この数値でも労働人口減少を心配しているので移民を積極的に誘致しようと努力している」
シム氏はこう背景を説明した。
韓国も少子高齢化に伴う「人口絶壁」が深刻化し、これを解決するための方法として「移民庁」設立議論が活発になっている。法務省などを中心にその必要性に対する声が強まっているものの、まだ政府組織の改編や予算確保など具体的な動きには至っていない状況だ。
カナダは「IRCC(Immigration, Refugees and Citizenship Canada=連邦移民局)」で移民政策を推進している。シム氏は「新規の移民と難民らのために多様な政策を用意している。さまざまな産業機関や政府部署と相談し、移民を国家の主要政策として大事に扱っている」と明らかにした。
IRCCという移民政策のための政府機関が別途設立されたことで、移民が国家主要政策の一つになったというわけだ。
◇カナダ「国民が移民の受け入れに積極的」
韓国も資格要件を満たせば永住権を取得できる。だが、相対的にその道のりがカナダに比べて少し険しく見える。「移民に積極的な政策を取っているか否かの違いが大きい。カナダは近い将来、年間の移民の目標数を40万人から50万人に上方修正するなど、政府と国民が移民の受け入れに積極的な立場を取っている」
シム代表によると、カナダではかつて、政策で設定された条件をクリアすれば移民が可能だった。だが今は、情報通信(IT)や医療、幼児教育の人材が求められており、政策上、条件を十分に満たさなくても、永住権を受けられるようにする方法を取っているという。
韓国にも移民庁が設立されれば、意思疎通が重要になる。移民に対する要求が韓国社会で今後さらに高まるため、政策の設計から施行、フィードバックを受けた修正まで、すべてを担当する機関が求められるのだ。その際、さまざまな利害関係が絡む。それゆえ、円滑な意思疎通と協力が必須となる。
政策機関の専門性も強調した。シム氏は「細かい点にも素早く向き合う能力を持ち、変化する情勢にリアルタイムで対応できるよう、実行力と適応力を備えることが必要だ。このためカナダは移民政策の専門家を徹底的に国家で管理している」と明らかにした。
◇「合法的な韓国人が増える」
何よりも、外国人に対する韓国社会の拒否感を解決すべきだ――シム氏はこう指摘する。
「外国人が入ってきて働き口を奪う」ではなく、「合法的な韓国人が増える」と考える――これが今後、人口問題を解決していく道だとみる。政策も重要だが、人々の認識と社会的雰囲気も変えていく必要がある。
「カナダも1970年代から数え切れないほど移民政策を修正してきて、今に至った。長期間、見直しながら進む必要がある」
カナダも最初から違うことを認め、自然に受け入れることができたわけではない。
1800年代末から金鉱開発と鉄道建設などが活発に進められ、労働力確保のために中国をはじめとするアジア出身の移民を積極的に受け入れた。その後、移民を何の基準もなく追放し、深刻な社会的分裂を経験した。
だが、多くのプロセスを経て、移民とともに生きていく道を選び、40年以上努力した結果、モザイク社会になった。
「移民が入ってくれば当然、さまざまな葛藤と問題がありうる。しかし、多様な人々、慣れていない生活方法など『違い』を理解する努力が重要だ」。シム氏はこう強調した。
韓国が移民に積極的になるには、他の文化を理解し、それを受け入れる、という広い心が必要だ。「他の文化圏の人を、韓国の文化圏のような姿に変えさせるのではなく、一緒に生きていくということに集中すべきだ」
(おわり)
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