韓国の人材は過去、大挙して海外に流出した。だが、人口が減る今、彼らを呼び戻すべきだという意見が強い。
1960年代、鉱山労働者と看護師はドイツに、1970年代、建設人材は中東諸国などに渡った。外務省によると、2021年時点で韓国の在外同胞は732万人程度だ。
海外で在外同胞の復帰に積極的なのはイスラエル。イスラエルの同胞帰還政策は1950年に制定された帰還法に基づく。世界のすべてのユダヤ人にイスラエルに戻って定着する権利を付与するのが骨子だ。
イスラエルは、ユダヤ人がイスラエルに入国して移民の身分を受ける場合、移民統合省と民間ユダヤ人機構が多様な支援を施す。中で最も代表的なのが移民定着基金であり、この他にも支援分野別に失業手当、関税補助、ヘブライ語授業、住宅援助、求職支援、教育費支援などがある。
ディアスポラ(海外離散)から、イスラエルに戻るユダヤ人を指す「アリヤ」に支えられ、イスラエルの人口は大きく増加した。イスラエル統計局によると、2021年末でイスラエル本土とイスラエルとパレスチナの紛争地域・西岸地区に居住するイスラエルの人口は944万9000人で、1948年の建国当時(81万人)と比べると11倍を超える。
◇外国人の代わりに在外同胞
中国も国外にいる華僑、中国人留学生に焦点を合わせた移民政策を展開している。米中対立、新型コロナウイルスの拡散などで、国際社会で中国に対する否定的認識が広がると、外国人の代わりに在外同胞の受け入れに力を注いでいる。華僑は中国を離れ海外に移住して定着した中国人で、2020年現在、世界の華僑人口は約5000万人に達する。
具体的に中国移民局は2019年から華僑パスポートのオンライン照会サービスと、中国の公共サービスが使える電子身分証発給政策を施行し、華僑の定着を支援している。特に、外国の大学で博士号を取得した華僑は、中国で勤務する場合、外国人配偶者と未成年の子供まで永住権申請ができる。
また、海外で修士号以上を取得した華僑が中国で起業すれば、最大10万元(約193万円)の資金を支援する。これらにより、中国の「技術ハブ」と言われる広東省深圳市には2021年、2万7000人の華僑人材が入った。深圳市人的資源社会保障局によると、前年より30%以上増加した。
◇世界の独特な文化と共存
「他の文化圏の人々が集まっている。あえてその色を変えなくても、お互いに調和している。まるで素敵な絵を完成させるモザイクのようです」
カナダで移民コンサルティング会社を運営しているジャスティン・シム氏は、カナダの移民政策と文化をこう表現した。
シム氏は高校1年生の時、家族とカナダに移住して大学を卒業し、定着した。彼は異郷暮らしの経験を共有する移民専門司法書士の資格を取った後、現在は韓国人のカナダ定着を支援する仕事をしている。
シム氏が暮らすカナダは移民者の国だ。「今は2015年ですから」。同年11月、カナダのトルドー首相は、男女同数で、障害者相、先住民相などの多様な背景を持つ人々で構成された内閣を紹介し、こう話した。トルドー首相はこれについて「カナダに似た内閣」だと表現した。
カナダは多文化主義を移民政策の根本哲学とし、世界の独特な文化と共存している。文化的多様性を認めるという意味で、別名「モザイク文化」と呼ばれる。
カナダは1971年、世界で初めて多文化主義を公式宣言した。以後、移民法と多文化主義法などを制定し、アイデンティティによって差別されない文化を国家政策で支援している。
(つづく)
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