海外の主要国は既に、高度人材の誘致や在外同胞の帰還に向けた積極的な政策を展開している。
シンガポールは定着促進のため雇用税免除、公共年金加入支援などを実施する。カナダは一定要件を満たした高度人材を対象に永住権を迅速に付与している。中国とイスラエルは、海外同胞を引き付けるため、さまざまな恩恵を与えている。
◇「高度人材」
米国やオーストラリアのように伝統的な移民中心国家であるカナダは、1869年に初めて移民法を制定し、以来、大規模移民導入プログラムを実施している。当時の移民プログラムは、農場など労働者を誘致するためのものだった。
しかし、移民を大規模に受け入れていたカナダは、20世紀に入って連邦移民局(IRCC)を中心に高度人材の受け入れに政策の重心を移した。1960年代にはポイント制度(点数制)を導入し、移民の資格基準を高めたのがその始まりだ。
2010年代に入ってカナダの経済活動に役立つ移民を選別して受け入れる「能動的移民制度」を導入した。
特に、人材が不足した特殊技術職や高度人材誘致のために「労働許可書」を速かに発給したり、政府が移民候補として適合していると判断して招請する場合、迅速入国移民制度(Express Entry)を導入したりし、永住権を速かに付与している。
連邦熟練労働者プログラム(FSWP)の場合、特定分野の専門技術者として認定された人が永住権を申請する制度だ。申請者はカナダ経済への寄与度と定着の安定性などによって評価される。
このほか、高度人材誘致のための政策として▽カナダの大学を卒業後1年以上、勤務時に永住権を付与する「経歴移民制度」▽米シリコンバレーなど外国ベンチャー企業創業者を対象に永住権を付与する「創業移民制度」――などがある。
◇シンガポール「定住環境改善」重点
カナダ統計庁によると、カナダの人口は2021年時点で3699万1981人だ。2016年と比べ180万人増加したが、このうち80%が移民だった。これに加え、カナダ政府は最近、新型コロナウイルスの感染拡大で移民が停滞した点を考慮し、2024年までにカナダの人口の約1%(370万人)に相当する移民を追加で受け入れる方針だ。
シンガポール入国管理局(ICA)は1999年から「21世紀人材誘致計画」を発表し、外国人高度人材の誘致に乗り出している。シンガポールは経済活動に参加しようとする外国人を低熟練労働者(WP)、専門技術人材(SP)、高度人材(EP)など3部類に区分する。この中で高度人材ビザであるEP系列の発給基準は、賃金水準と資格証および業務経歴だ。
シンガポール政府の高度人材誘致政策の重点は、定住環境を改善することだ。外国人高度人材がシンガポール滞在時に簡単にビザを延長したり永住権を取得したりできるようにする。さらに特定の特典も付与する。具体的には▽外国人を雇用した雇い主を対象とした雇用税免除▽高度人材に対する各種社会保障▽公共住宅入居▽公的年金制度である中央積立基金加入――などがある。
漢城大移民多文化専攻のオ・ジョンウン教授は、IOM移民政策研究院が発刊した「外国人高度人材誘致のためのシンガポールの政策研究」で次のように伝えている。
「韓国も移住民のための社会統合プログラムを運営している。ただ重点を置いているのは、低所得層を念頭に置いた無料の韓国語授業や韓国文化講座だ。外国人高度人材に適した社会統合プログラムが必要だ。このような側面でシンガポールなどの定住を誘導する戦略は示唆するところが大きい」
(つづく)
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