韓国消滅の序章なのか。
この3年間、人口が減っている。産業現場に働く人がおらず、20万以上の働き口が空いている。海外から人を受け入れるしかない。文化的な違いが相対的に少ない在外同胞を呼び戻すのも現実的な方策の一つだ。カナダ、シンガポールをはじめとする移民先進国の経験などをもとに解決策を探ってみた。
◇「外国人1人が韓国人2人の役割」
韓国政府は少子化対策に天文学的規模の予算を投入したのに「人口滅」を防ぐのは難しい状況に至っている。
学界と産業界が「事実上唯一の代案」としているのが「移民奨励」だ。ハン・ドンフン(韓東勲)法相が就任の第一声として移民庁新設の検討に言及し、体系的な移民政策に対する期待も高まった。
移民奨励政策が成功するためには、移民に対する一般国民の拒否感を緩和・解消し、文化的融合を助ける方法が同時に用意されなければならない。一部では、700万人に達する在外同胞を韓国に呼び戻すことが、現実的な代案になり得るという声も上がっている。
◇歴代政権の少子化対策、すべて失敗
統計庁が昨年末に発表した「将来の人口推計:2020~2070年」によると、韓国の総人口は2020年に5184万人でピークに達したが、その後の2年間は下り坂を歩んでいる。
総人口は今後約50年間に急激に減少し、2070年には3766万人となる見通しだ。15~64歳の生産年齢人口は、2016年に3762万1000人でピークに達した。
しかし、それ以後は6年間減少中であり、2070年には1737万人にまで縮小すると見られる。この傾向が続けば、2700年ごろ、韓国は最後の国民がいなくなり、消滅することになる。
韓国政府はこれまで少子化問題を解決するため、毎年、天文学的規模の予算を投入してきた。国会予算政策処が2021年発表した「少子化対応事業分析・評価」によると、政府の少子化予算(国費基準)は、2006年の1兆ウォン(1ウォン=約0.1円)から毎年増加し、2021年は42兆9000億ウォンにまで増えた。それでも「人口絶壁」が現実となり、歴代政権の少子化対策は、事実上、すべて失敗したといわれている。
「人口絶壁」とともに、造船やタクシーなど産業界での人材不足が重なり、外国人材を積極的に取り込まなければならないという主張に勢いが出ている。雇用労働省によれば、昨年6月の人手の足りない働き口数は23万4000カ所で、2018年2月以後最大だ。
大邱(テグ)の製造業者はこんな話をしている。
「外国人労働者がいなければ工場が回らない。韓国を訪れる外国人労働者は概して有能な方なので、事実上、韓国人の2人分をこなす」
学界では以前から、移民の奨励が人口問題解決の事実上唯一の代案だという声があった。
韓国移民政策学会のムン・ビョンギ会長(韓国放送通信大学行政学科教授)は「政府が人口減少問題の解決のために多くの予算を投入したが、事実上何の効果もなかった。移民奨励は、事実上最後の手段だ」と指摘する。
(つづく)
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