2024 年 11月 18日 (月)
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[KWレポート] 韓国デジタル経済の弱点 (4) 非首都圏の事情

来年、竣工予定のネイバーのデータセンター(写真提供=Hanmi Global)(c)MONEYTODAY

◇分散に向けたインセンティブ

韓国政府は昨年、「分散エネルギー活性化特別法」を制定した。新規のデータセンターが電力系統に及ぼす影響を評価し、電力供給を中断したり、工事中止などの措置を取ったりするための法的根拠を整えようとしているのだ。

ただでさえ飽和状態である首都圏の発電・送配電システムに、さらなる負荷がかかりかねない。そんな新規データセンターの首都圏建設は、さらにハードルが高くなる。

一方で、非首都圏地域については対応が異なる。

データセンター建設時の施設負担金割引、予備電力料金の一部免除など、インセンティブを与えようとしている。特に、今年10月発生したカカオ通信障害事故は、分散エネルギー法推進に拍車がかかるきっかけとなった。

こうした措置がどれほど効果をもたらすかは未知数だ。データセンター連合会は昨年9月、声明を通じて「(法が施行されれば)首都圏に建設されるのは、小型データセンターになるだろう。これでは『規模の経済』を実現できない。同時に、エネルギー効率の低いデータセンターが増えることを意味する」と主張した。

また、データセンター1カ所が首都圏外に100キロ移転する場合には▽通信回線料金が年間50億ウォン増え▽業界全般にわたっては年間9600億ウォンの追加費用が生じ▽20年というデータセンターのライフサイクルを勘案した場合の追加費用が19兆3000億ウォンに達する――と展望した。

同連合会関係者は「デジタル転換の需要に十分対応するためには結局、非首都圏に建てるしかない。企業・機関など顧客群の分散や、エネルギーインフラの地域拡充がなされないまま、データセンターだけを非首都圏に建てるわけにはいかない」と指摘している。

◇小型モジュール原子炉活用の論議

データセンター拡充のため、産業団地建設など総合経済開発レベルの計画が必要だ――これが専門家の意見だ。

首都圏における電力系統の負担を緩和しつつ、日を追うごとに増える企業・機関のデジタルトランスフォーメーション(DX)需要に耐えるためには、発送電システムを拡充し、データセンターを、需要企業・機関とともに移転する方法が求められるということだ。

韓国科学技術院(KAIST)電気・電子工学部のチェ・ジュンギュン教授は次のように強調する。

「データセンター1カ所が中小都市1カ所以上の電力を消費するということを考えると、今後、忠清南道(チュンチョンナムド)公州(コンジュ)のような都市が100カ所程度増えるわけだ。現在の発電容量と送電インフラなどでは、データセンターの需要のすべては満たせない。発電など電力インフラ拡充とデータセンターへの供給拡大、企業・機関のデジタル転換需要を調整する総合経済開発計画が必要だ」

電力供給のインフラ拡充案として提示されているのが、小型モジュール原子炉(SMR)の活用だ。従来の原発に比べて規模は小さく、高い出力が可能だ。データセンターの駆動に必要な電力を安定的に供給するのに、これに勝る代案がないという説明だ。

賛否が分かれる原発の活用まで言及されるようになったのは、それだけデジタル転換が企業の競争力向上に不可欠であるという理由のためだ。

◇デジタルクラスター

韓国では現在、AWS(アマゾンウェブサービス)など海外業者への依存度が高まっている。デジタル転換のプロセスで、韓国から外国企業に富が流出する状況が続いているわけだ。

ソフトウェア政策研究所関係者は「独立・自立の側面からも、長期的に韓国企業が中心となってデータセンターを建設し、その比重を高める必要がある」と指摘している。

だが、首都圏などの人口過密地域は電力負荷増加、住民の反対などでその拡充は容易ではない。だからこそ、非首都圏にクラスター(産業団地)形態のデジタルインフラの拡充が迫られている。

韓国データセンター連合会のチェ・ヒョグン事務局長は次のような見解を示している。

「セマングム(全羅北道の広大な干潟)や釜山(プサン)のような、環境にやさしいエネルギーのインフラが十分な場所に、データセンター6~10カ所を集め、需要企業・機関も集まるようにすれば、首都圏過密問題も解消でき、供給も増やすことができる」

今年10月のカカオの火災を受け、データセンターへの規制強化が進められている。ソフトウェア政策研究所関係者は「安全に関連した部分は最大限、強調されるべきだ。ただ、規制と成長は、相反する概念であることを留意しなければならない。過度な規制でデータセンター産業が不必要に萎縮するような事態は避けるべきだ」と訴えている。

(c)MONEYTODAY

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