2024 年 11月 23日 (土)
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[KWレポート] 韓国スタートアップになぜ外国のお金が殺到するのか(4)

「フェスティバル」に海外が注目するわけ

「2020カムアップ」開幕式でムン・ジェイン(文在寅)大統領が祝辞を述べている©MONEY TODAY

韓国のスタートアップ企業に、豊富な資金力とネットワークを持つ海外投資家の熱い視線が注がれ、「K-スタートアップのルネッサンス到来」の期待感が、にわかに高まっています。日本よりもマーケットの小さな韓国になぜ、海外投資家が注目するのでしょうか。その理由を探ってみました。(最終回)

韓国最大のフードデリバリーアプリ「配達の民族」を運営する「優雅な兄弟たち」、韓国の生鮮食品の通販サイト「マーケットカーリー」、韓国最大のモバイル不動産アプリ「Zigbang」……。これらの企業は、各業界で最も成功したスタートアップといわれている。関連性がなさそうに見えるこの企業らは、すべてグローバルスタートなアップ祭り「カムアップ(COMEUP)」というものに共通点を見いだすことができる。カムアップ民間組織委員会の委員長は初代が「優雅な兄弟」のキム・ボンジン議長、2代目が「カーリー」のキム・スア代表、3代目が「Zigbang」のアン・ソンウ代表だ。

中小ベンチャー企業省が2019年から進めてきた「カムアップ」(COMEUP)は、グローバル投資家が最も注目するスタートアップのイベントに挙げられる。韓国スタートアップの「生態系」の現状が一目で分かり、「優雅な兄弟たち」「マーケットカーリー」「Zigbang」といった次世代ユニコーンも、いち早くお墨付きを得ることができるためだ。

今年もグローバルなアクセラレーターのほか、ホワイトスターキャピタル(White Star Capital)、ゴールデンゲートベンチャーズ(Golden Gate Ventures)、エスオーエスブイ(SOSV)など、海外(VC)の投資担当者らが「カムアップ」を訪れ、有望なスタートアップの発掘に乗り出す。

実際に昨年、「カムアップ」を代表するスタートアップ企業「カムアップ・スターズ」に選ばれた「アドリエル(Adriel)」の場合、イベント後、海外投資者からのラブコールが殺到した。同社の人工知能(AI)基盤のデジタルマーケティングソリューションがグローバル市場でも通じると見込んだ。

米IT専門メディア「テククランチ(TechCrunch)」も、アドリエルのデジタルマーケティングソリューションを新型コロナウイルス感染という状況に最適化した非対面ソリューションであると評価した。昨年、「カムアップスターズ(COMEUP STARS)」として参加した120社の後続投資の誘致規模は1000億ウォン以上と推算される。カムアップが直接・間接的に窓口の役割を果たしたと考えられる。

カムアップがグローバルスタートアップフェスティバルとして位置づけられ、韓国はもちろん、海外スタートアップの間でも人気を集めている。

「カムアップスターズ」が今年、スタートアップ72社を募ったところ、韓国内外から783社が殺到、競争倍率は10.9倍だった。国別にはインドが26社と最も多く、次いでシンガポール(23社)、米国(20社)、ベトナム(10社)が申し込んだ。

最終的に選ばれたのは韓国56社(77.8%)、海外16社(22.2%)だった。海外のスタートアップ企業は▽累積100億ウォン以上の投資を引き寄せたドローン(無人航空機)サービス「エアロダイン(AERODYNE)」(マレーシア)▽グローバル履歴書作成プラットフォーム「レジ(Reggie)」(米国)▽教育にIT技術を絡めたエデュテック(EduTech)の「タグハイブ(TagHive)」(インド)――などだ。

グローバル大手の各社も、新たな成長の動力を求め、カムアップに接近する。

サムスン電子、CJグループ、GSグループ、ネイバー(NAVER)、SKテレコム、現代自動車などの韓国企業や、グーグル、メルセデスベンツ、エヌビディア(NVIDIA)など18社は、事業推進の方向と詳細な戦略などを紹介する「オープンイノベーション・ショーケース」を運営する。開放型の協力モデルを目指す革新スタートアップ企業を探したい考えだ。

(おわり)

「韓国スタートアップになぜ外国のお金が殺到するのか」はMONEY TODAYのコ・ソギョン、イ・ミナの両記者が取材しました。

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