2024 年 11月 27日 (水)
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[KWレポート] 韓国を“分断”する政治ユーチューバー (6)

(c)MONEYTODAY

韓国コンテンツ学会論文誌(2020年2月)に掲載された「ユーチューブ情報規制に対する利用者の認識研究」報告書では、虚偽情報に接した経路を尋ねた結果、ユーチューブ(19.9%)が最も多く、周囲の人(17.8%)▽放送ニュース(16.4%)▽インターネット検索(12.9%)――などが続いた。

専門家は偽ニュース拡散と、ユーチューブなどニューメディアの成長とは無関係ではないとみる。

明知(ミョンジ)大学政治外交学科のシン・ユル教授は「ニューメディアが既存メディアで不足している点を埋めてくれるのは事実だ。ただ(政治ユーチューブは)事実かどうか不確定の情報を、事実のように信じさせる副作用がある」と指摘する。

◇“違う音”が聞こえなくなり…

真偽判断が容易な「明白な虚偽」より「事実を歪曲する巧みな噓」が、より大きな悪影響を呼び起こす――という診断もある。

「韓国政治では、抽象的な単語が使われる場合が多い。どう解釈するかが重要になるのに、政治ユーチューバーはこれを歪曲する場合が多い」

政治評論家のパク・サンビョンはこう指摘する。

ユーチューブでは、アルゴリズムが働き、過去に見たコンテンツと類似したものが次第に集中する「フィルターバブル」が起きる。

そして、ユーザーは次第に、多様な情報に接しにくくなっていく――。

「人気ポッドキャスト番組がファン集団(ファンダム)を形成するには、ファンにアプローチする努力が必要だった。だが、政治ユーチューバーの場合、何もしなくても自動的に(アルゴリズムが)探してくれる。問題はアルゴリズムのせいで、意見が違う音は聞こえなくなり、自分に近い世界に閉じ込められる点にある」

長安大学のパク・チャンファン教授はこう訴える。また、高麗大学政治外交学科のイ・ネヨン教授は次のように危機感をあらわにした。

「ユーチューブはすべての人が参加可能で、早くて双方向疎通ができるという肯定的な側面がある。一方で、最近はファンダム現象がとりわけ目立っているようだ。絶えず対話と妥協をしてこそ国民統合もでき、(政策)決定もできるはずなのに、支持者たちの影響力が強すぎて、政治家が彼らの顔色をうかがうようになる。そして陣営論理と対立が強化される。こうした傾向は、政治ユーチューバーの影響力と無関係ではない」

(つづく)

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