「あきらめさせない」国家の役割
韓国のMZ世代で「結婚しない」という選択が増加傾向にあります。結婚に対する価値観の変化に加え、経済面での制約が背景にあるようです。韓国社会における「結婚」はどう変化しているのでしょうか……。(最終回)
「結婚なんてぜいたくだ」。未婚男女の61%がこう思ったことがあるそうだ。
結婚コンサルティング会社「デュオ」が昨年12月に「現実的な結婚」をテーマに実施したアンケート調査の結果、こんな数字が出た。内訳は男性は50.4%、女性は71.6%だ。なぜ結婚がぜいたくなのか。その理由もやはり「経済的理由」(男性83.3%・女性62%)が最も多かった。
こうした未婚男女の認識は、実際に結婚件数の減少という形で表れている。
韓国統計庁が3月23日に発表した人口動向によると、今年1月の婚姻件数は1万4753件と、昨年同時期に比べ9.4%(1527件)減少した。1981年に統計を取り始めて以来、最低水準だ。
婚姻率の減少は出産率の減少につながる。それは国家競争力にも否定的な影響を及ぼす。したがって政治の課題である。
政界でも住居政策を中心に、結婚奨励政策を相次いで打ち出している。次期大統領のユン・ソンニョル(尹錫悦)氏も「青年原価住宅30万戸供給」「駅近くの新築20万戸供給」などの公約を掲げ、選挙に勝った。
専門家は、抜本的な対策が必要だという点で一致する。なかでも雇用における質の確保が不可欠だという意見に説得力がある。
韓国保健社会研究院のビョン・スジョン副研究委員はこう指摘する。
「結婚したいと思うような年齢に結婚に踏み切るには、何よりも安定した雇用が必要だ。青年の雇用を拡大して失業率を下げることだけに満足してはいけない。創出された雇用を通して生活が維持できるよう、その質をモニタリングする必要がある」
非婚を選択したり結婚をあきらめたりする人へのセーフティーネットの構築を求める声もある。「家族を基準にした福祉、セーフティーネットから、ひとり暮らしが排除されてはならない」。韓神大社会学科のユン・サンチョル教授はこう訴える。
中央大心理学科のパク・ジョンニュン教授は「結婚経験の有無による、非婚ひとり暮らしの生活満足度に影響を与える要因」という論文を著した。その中で説いているのが「地域社会の積極的な介入」。非婚のひとり暮らしが社会的なネットワークをつくり、共同体での活動を通じて帰属意識を持てるようにするために、この介入が必要だという。その方法として「健康家庭支援センター」などの家族福祉伝達システムを活用して、ひとり暮らし事業の活性化を促すよう提案している。
(おわり)
「韓国の『結婚しない』MZ世代たち」はNEWSISのイ・ソヒョン、イム・ハウンの両記者が取材しました。