脚光を浴びるセレクトショップ
韓国で新ブランドが人気を集め、「セレクトショップ」が注目されている。
セレクトショップとは、国内であまり知られていない輸入ブランドを仕入れ、消費者の反応を見る「テストベッド(試験用環境)」だ。海外ブランドの選別、関係構築などの役割を果たしている。ただ、多様な商品を管理する事業構造上、収益を出すのが難しい。
サムスン物産ファッション部門は11月18日、ソウル・聖水洞(ソンスドン)にセレクトショップ「ビーカー」の3番目のフラッグシップストア(旗艦店)を開いた。2012年のビーカー発足と同時に開店した漢南(ハンナム)店、清潭(チョンダム)店に続く、10年ぶりのフラッグシップストア出店だ。聖水店は3階の計324平方メートルの大型売り場で、コンセプトは「輝く青春」だ。
ビーカーはメゾンキツネを発掘したことで有名だ。
メゾンキツネはビーカーを通じて輸入・販売され、その後、サムスン物産ファッション部門と単独で、流通契約を結んだ。メゾンキツネはフラッグシップストアを含め、百貨店などに国内店舗が18カ所ある。
ビーカーによって見いだされたブランドは、ほかにもGANNI、スタジオニコルソン、ノーマンコペンハーゲンなどがある。
ビーカーが運営するブランドだけで230~270に達する。輸入ブランドが150~170、国内ブランドが40~50、ライフスタイルブランドが40~50だ。随時ブランドを追加して入れ替えるため、シーズンによって差がある。輸入ブランドの追い風に乗って、ビーカーは今年1~10月の累積売り上げは前年同期比約30%増となった。
◇「他人と違うブランド」試したい
セレクトショップが脚光を浴びている理由は――「他人と違うブランドを試してみたい」と考える、経済的余裕のある消費者が増えたことだ。
ビーカーで販売する輸入衣類価格は、大部分が20万~100万ウォン台。最近は並行輸入(海外の有名ブランド品などを正規の代理店とは別ルートで輸入すること)などで有名ブランドをより安く買おうとする消費者が増える一方、直接着てみて服を選ぶというオフラインに対する需要も依然として強い。
集められた数百のブランドを見ることができる――これがセレクトショップの強みだ。
ビーカーは、全体的なコンセプトがセレクトショップに合うブランドをまず輸入する。2~6年間、ブランドの成長傾向を見ながら、単独販売に向けて準備する。通常、海外ブランドとの流通契約は随意で結ばれるため、マーチャンダイザー(商品の開発から販売計画、予算管理まで一貫して担う)の交渉力が重要だ。
ビーカーチーム長のソン・テグン氏は「セレクトショップは韓国内外の市場に対するノウハウがすべて必要な事業だ。ブランドに対する理解度や国内で海外ブランドを成功させた経験などが重要だ」と指摘している。
韓国のブランド中心に事業を展開していた各社も、セレクトショップを試みている雰囲気だ。
オンラインファッションストア「ムシンサ」は9月、系列会社を通じてハイエンドセレクトショップ「エンプティ」のオン・オフライン売り場を開設した。オフライン売り場はソウル・聖水洞の4階建ての規模だ。エンプティで扱うブランドは約70社で、海外ブランドが70%、国内ブランドが30%を占めている。大衆性よりは個性と感性を前面に出して差別化する。ムシンサがこれまで国内ブランドを中心に成長してきた点を勘案すれば、ユニークな歩みだ。
現代百貨店系のアパレル企業「ハンソム」も来年上半期に輸入衣類セレクトショップブランド「トム・グレイハウンド」の男性専門売り場を新たにオープンする予定だ。ファッションに関心が高い若い男性が増えている点を重視している。
(つづく)
(c)MONEYTODAY