韓国政府が定年延長(現行60歳の定年を65歳に引き上げる案)の検討に着手した。これは、国民年金保険料の支払い期間を延ばすためのものであり、少子高齢化による労働力不足に対応する目的もある。韓国は、高齢者が若者の仕事を奪うという懸念を超えて、「65歳定年時代」を迎えることができるだろうか……。
◇政府が狙う「定年延長で年金制度を守る」
定年延長は、ユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領が公約した年金、医療、労働、教育などの4大改革のうち、年金改革の一環として提案された。国民年金の枯渇を遅らせるため、労働者が働きながら保険料を支払う期間を延ばそうという趣旨だ。
しかし、定年延長には、賃金ピーク制(一定の年齢に達した労働者の賃金を減額する制度)の拡大など賃金体系の柔軟化や、若年層と中高年層の世代間の合意を先行させるべきだという指摘もある。
保健福祉省の「年金改革推進計画」によると、政府は国民年金の加入期間を確保し、実質所得を向上させるための策の一つとして、現行の60歳未満の国民年金の義務加入上限年齢を65歳未満まで5年間延ばす案を検討することにした。この案が実施されれば、年金を受け取るには、現行の59歳までではなく64歳まで保険料を支払う必要がある。
◇年金の安定性
政府が国民年金の義務加入期間延長を検討しているのは、年金の安定性を高めるためだ。国民の期待寿命が延び、高齢者の経済活動が増加している状況も考慮している。
現行の規定でも、任意加入を続けることで64歳まで国民年金保険料を支払うことは可能だが、この場合、事業主が保険料の半分を負担する義務はない。保険料の義務納付期間中は、労働者と事業主が半々で年金を負担する構造にするには、国民年金の義務加入上限を5年間延長する案が、定年延長とともに推進される必要がある。
実際、同省関係者は「国民年金の義務加入年齢の調整は、高齢者の継続雇用条件の改善などと並行して、長期的に議論していく」と述べ、年金納付期間の延長と定年延長を同時に扱う構想を示した。
(つづく)
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